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早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
地球移動作戦 /山本弘 -
最高傑作級っ!! なんと言っても素晴らしいのが第一部。謎の天体へと向かう道程、近未来の輝かしいガジェットの数々と、そして明らかになる絶望の未来への戦い。涙なくしては読めない展開に、もう何もかもが素晴らしい。
初の深宇宙探検船<ファルケ>は、地球から8.7光日の距離に発見された謎の天体の調査に赴く。その調査の結果、この天体が24年後に地球にニヤミスし壊滅的な被害をもたらすことが明らかに。人類は、この地球最大の危機を回避することが出来るのか……。という感じで、[映画]『妖星ゴラス』を現在の科学的知見でリライトした作品。や、[映画]『妖星ゴラス』観たことないけど(^^;。タキオン推進を実現したピアノ・ドライブ、バーチャルリアリティを発展させた拡張現実や人型ACOM(人工意識コンパニオン)といったガジェットが魅力的で、特に、妖星ゴラス改め<シーヴァル>と同等に物語の骨格となっている ACOMの人間のコミュニケーションに関する設定が秀逸。そして、TVや映画産業が衰退し、○○Pと呼ばれる映像クリエーターがセカイを動かす未来って、おい(^^;。そして、もちろん、科学的な裏づけられた説得力は非常に高く、その上で、計算されたストーリー構成による感動的な物語がほんとに素晴らしい。や、強いて言えば、ネタの遊び具合に比べると、ストーリーは遊びが少なく、そこら辺はどうよ?という気もするけど、まあ、そういう些細な部分はともかく、ほんと、非常に素晴らしい作品でした。
[ 2009.11.03 ]