レジェンド・オブ・レギオス
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富士見書房 Style-F
リグザリオ洗礼 レジェンド・オブ・レギオス /雨木シュウスケ -
面白かったです。ただ、ここまで『鋼殻のレギオス』と関係が薄いんだったら、タイトルに『レギオス』の名前を冠する必要はなかったんじゃ(^^;。一応、世界が繋がってるのは分かるんだけど、この程度の差って、なんちゅーか、上遠野浩平ワールドで言えば『しずるさん』と『ブギーポップ』と同程度だと思うぞ。……いや、全三巻らしいので、最後まで読めば印象違うかもしれないけれど。
そゆわけで、“『鋼殻のレギオス』の前世譚”といいつつ『鋼殻のレギオス』とは直接の関係はなし。とはいえ、『鋼殻のレギオス』で見せるような雨木シュウスケらしい作品なので、『鋼殻のレギオス』が好きなら、十分楽しめるんじゃないかしらん。……世界が拡大しギャングが蔓延り治安が悪化した世界。異界で力を手に入れたアイレインは、自分を救ってくれた異界から来た少女・サヤとの二人の安心できる生活を手に入れるため旅を続ける、という感じの内容かしらん?
『鋼殻のレギオス』同様、設定と展開にツッコミどころは多いのは相変わらず。ただ、各キャラクターは味があり魅力的で、理屈じゃなく熱い展開がめちゃ面白い。基本的には、シスコンのアイレインと無口少女サヤの二人の結びつきを描きつつ超能力バトルという内容なのだけど、特に、アイレインとサヤの関係の見せ方が良いわぁ~。しかし、どうみてもライトノベルの文法で書かれているので、そもそもなんでわざわざ単行本?という気はしないではないかなー。
[ 2007.07.04 ]
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富士見書房 Style-F
イグナシス覚醒 レジェンド・オブ・レギオスII /雨木シュウスケ -
ダメだろ。いや、なんと言うか、書き込みがぜんぜん足りてない。もっと描写に厚みを持たせて、事前の仕込みや伏線もきちきち入れていくべきだと思う。どうにも、唐突感が強い上に、キャラの描写が薄っぺらいのよな。
そゆわけで、『鋼殻のレギオス』の前世譚のシリーズ2巻。前巻では、『鋼殻のレギオス』との繋がりが薄く、あえて『レギオス』の名前を冠するのは、どうかとも思ったのだけど、2巻になり、世界の謎が明らかになってくると、だんだん『鋼殻のレギオス』との関係が見えてきて、おもしろいおもしろい。確かにこれは、前世譚といっていい内容だわ。……まあ、「この世界が、どう『鋼殻のレギオス』に繋がっていくんだ?」という部分は、非常に興味を引かれて面白いんだけど、ただ、単体の作品としてみたら、ぼろぼろなんだよなー。やりたいことはわからんではないけど、絶望的に書けてないと思う。
[ 2008.01.01 ]
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富士見書房 Style-F
レギオス顕現 レジェンド・オブ・レギオスIII /雨木シュウスケ -
お兄ちゃん離れできないニルフィリアは面白かったし、レギオス世界の創生を描いたりしてる部分は、まあ、興味深かったけれど、……小説としての出来は、やっぱ、酷いと思うぞ。や、とにかく説明が足りない上に、チープなストーリー展開。それにそもそも、これだけ粗の多い設定にもかかわらず SF 的に描かれるのは、無理があると思う。
『鋼殻のレギオス』(→感想)の前世譚シリーズの最終巻。「なぜ、都市が自ら闊歩する不思議な世界になったのか?」ということに対する回答になってるんだけど、う~ん、雨木シュウスケって、そもそも無茶な設定を、「そういうことになってます」で押し切るタイプの作者じゃないの? 下手に説明されたも、むしろ説得力がなくなるだけなんですがー。そして、ほんとに説明が下手なんだ。そもそもやっぱり、キャラクター小説ならともかく、SFとして描くには、設定そのものが粗が多すぎて、説得力がなさすぎると思うんだけどなー。
それにしても、この作品って、『鋼殻のレギオス』よりも、もっと中高生向けにターゲット層を絞ったような内容だと思うんだけど、なぜにファンタジア文庫ではなく、単行本で出してるのかも不思議だよなー。
[ 2008.10.03 ]