本の読み方 スロー・リーディングの実践


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本の読み方 スロー・リーディングの実践 /平野啓一郎

とりあえず、「読書の感想をブログに書く」のはいいらしいゾ。……まあ、面白くはあるんだけど、読む価値はない本でした。いや、「好きで小説を読んでる奴は当たり前にそういう風に読んでるだろー」という方法を、わざわざハッタリかまして書いてるだけなんだよなー。現国の受験技術をかなり意識した作りになっているし、対象読者は、あまり読書をしていない&ハッタリの通用しやすい中高生向け、ということのようなので、そういう内容なのも仕方ないかもしれないけれど。

そういうわけで、速読を貶しつつ、ゆっくりと読むことの効用を述べ、実際に読むときには文章のどこに注意して読むべきかを解説&実践してみる、という内容。芥川賞作家が自身の長い読書経験に基づいた読書方法を紹介する、というコンセプトなんだけど、えっと、「長い読書経験」といっても、作者の人は、私より一回り若いみたいなんですけど(汗;。や、中高生向けというのはわかるんだけど、それにしたって、まだまだ若手の作家さんが、「長い読書経験」を自説の拠り所にしちゃうのは、ちょっとどうかと思ったり(苦笑)。

まあ、書いてある内容自体は、ほぼ同意。味わい、考え、深く感じろっ!! 誤読もまた善しっ!! 現国の受験技術も重要っ!! という感じ。ただ、作者の視点が、ちょっと一面的で視野が狭いのが気になりました。まあ、そこは、あくまで作者の経験則なので、仕方ないのかなー。あと、作者の推奨する読み方でこの本を読むと、読者に対する底意地の悪い皮肉が込められているように読めるのだけど、それって仕様ですか(^^;。<そこら辺のある種の「嫌らしさ」がこの本のいちばん面白い部分という説はあるんだけど(笑)

[ 2006.10.18 ]