転生令嬢と数奇な人生を


早川書房
転生令嬢と数奇な人生を(1) 辺境の花嫁 /かみはら

素晴らしい素晴らしい。これは素晴らしいジェットコースター系少女小説。目まぐるしく変わっていく令嬢の運命、まさに“数奇な人生”がマジ素晴らしいわ。

「早川書房がなろう系異世界転生に手を出した」ということで話題に上った本作だけど、いやー、確かに「小説家になろう」発の異世界転生だけど、ぜんぜん「なろう」のフォーマットじゃねーぞ、これ。むしろ、一昔前の少女小説のあったような作風で、かつてのコバルト文庫やホワイトハートで見かけたような内容だよね。

物語は導入から、貴族家からの追放、そして復権、さらに突然の婚姻と、目まぐるしく人生が移り変わるジェットコースター。マジ往年の少女小説の王道だっ!! 正直、ちょっと詰め込みすぎな気はするけど(笑)。

一応、なろう発っぽく異世界転生要素はあるのだけど、いわゆるチート能力は微塵もなく、あくまで、「現代日本の価値観を持つ主人公」という感情移入のための装置としてしか機能してないのよ。そうそう、前世紀の異世界転生/転移の主人公は、特に少女漫画や少女小説では、こういう感じの主人公が多かった気がする。いやー、なろう系の文脈だと、絶対、何らかのチート能力は持たせると思うんだけどなぁ。そんなところも、凄く一昔の少女小説っぽい。

これを早川書房からってことだけど、……作品のポテンシャルに比べて、正直、早川書房、凄く微妙です。「なろう」からの書籍化ってめちゃくちゃ編集者の力量が見えるんだけど、社内にノウハウなくて、それっぽく一般的な少女小説を真似ただけな気がする。いやまぁ、そりゃノウハウ持ってないだろ、ってのは当然な気もするのだけど。

[ 2022.08.08 ]


早川書房
転生令嬢と数奇な人生を(2) 落城と決意 /かみはら

運命に翻弄される少女を描いた少女小説らしい少女小説で、ほんと凄まじい怒涛のジェットコースター。この巻のスタートから、まさかここまで状況が変わるとは、二転三転しすぎてわけがわからない。でも、いまひとつ主人公のカレンが翻弄されてる感じがしないんだけど、カレンに対して、追い込みというか、過酷さが足りない気がするなー。

いや、カレンが、ただ流されてるだけでなく、自ら運命を掴みに行っている部分はあるので、そこまで翻弄されている感じがしないのは、そりゃそうなんだけど、それなりに悲惨な目に遭いつつも、それでも、のほほんとしてるのが、ちと気になる。わりと精神強いよなー。そして、どう見てもライナルトと相思相愛なんだけど、そっちの方も、どうなるんだぁぁぁぁっ!! いやぁ、先がめちゃくちゃ楽しみすぎるっっっ!!!!

それにしても、やっぱり展開が早すぎて、というよりも、ファルクラムがアレすぎるだろっ!! そして、ラストがまたわけわからん展開なのだけど、えっと、どうなんのこれ?

[ 2022.08.15 ]


早川書房
転生令嬢と数奇な人生を(3) 栄光の代償 /かみはら

元々ベタな少女小説なんだけど、この3巻になって、いよいよ恋愛要素を強化してきたなー、と思ったら、……いきなり狂気に包まれてるんですけど。相変わらず、すげー展開をぶち込んでくるなー。

ほんと、平凡?な主人公が何故かモテ始めたり、その一方、気になる相手に恋のライバルが登場したり、一気に恋愛要素を強化し出したと思ったら、皇帝の登場で全部吹っ飛んだ(汗;。マジ狂っててヤバい。主人公のカレンも頑張ってはいるけれど、アレを相手にするなら、今からでもチート持たせた方がよくない?

転生らしく知識チートぐらい使っても良さそうだったんだけど、エルとのやりとりで転生前の知識使うのに否定的なんだよなー。私的には知識チートを否定するのはそもそも違和感あるので、何かやってもいいと思うのだけど。知識チート否定するのに、米とか納豆に興味持つのもバランス悪いと思うんですよね。

そもそも、あそこまで狂っていると、アレで国政が回るのか、殺されないのか、疑問に思わざるを得ないレベルだ。あんな狂人に支配されてる世界なんてあまりに不穏すぎて、物語の続きが気になって気になって仕方ないのだけど、ほんと急展開の連続で、まじどうなるんだぁっっっ!!!!

[ 2022.09.26 ]


早川書房
転生令嬢と数奇な人生を(4) 希望の階 /かみはら

転生令嬢を主人公としたジェットコースター系少女小説も第4巻。敵役の皇帝のぶっ壊れぶりがヤバくて、主人公のカレンはチートなしで大丈夫か!?と思ってたのだけど、いやー、そうきたかー。でも、それはそれで主人公側を強化しすぎじゃね?

そんな感じで、ここにきて転生の秘密みたいなネタも開示されてきたのだけど、当初想像していたよりもいろいろ深い感じでスゲー。いや、この設定、最初から考えてた内容なんだろうか? まだ、あまり開示されてない遺跡の秘密なんかもそうなんだけど、想像以上にきちんと構築されてる風で凄いな。ただでさえ二転三転してる物語なのに、きちんとは計算して組み立てるように見えて、マジ凄いと思う。相変わらず、先の展開はさっぱり読めないけどなー。

書き下ろしの短編「私が御使いになった日」は、ネット小説でよくある転生からの追放ものに関して私が感じてた違和感のいい感じの回答になっていて面白かった。そうだよなー、たとえ能力低くても、異世界の転生者というだけで、十分な価値あるよなー。……まあ、現代日本の知識を十分に吸収していたら、もっと科学的に進んでてしかるべきだと思うので、この短編は短編で違和感あるのだけど、ここら辺も先々解消されていくのかしらん?

[ 2022.10.12 ]