好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! - 2022年12月


2022 12 14

早川書房
転生令嬢と数奇な人生を(5) 皇位簒奪 /かみはら

サブタイトルがネタバレすぎるっ!!

今回はサブタイトル通りで、ライナルトがカール皇帝を倒し新皇帝として即位するまで。この作品特有のジェットコースター感はあまりなく、今までの物語が綺麗に収束するようなそんな一冊。ほんとに綺麗に決着していて、ここでエンディングに入っても不思議ではないと思うんだけど、えっと、続きは何やるんだ? ライナルトとカレンの恋愛話?

それにしても、今回は物語のクライマックスということで、いやー、手に汗握る展開が凄い。開戦から箱をめぐる闘い、そして、ヴィルヘルミナとの決着までカレン大活躍。なのに、凄惨で陰鬱な雰囲気がまた上手い。だからこそ、ライナルトとカレンの関係が光るよねぇ。ただ、開戦に至るまでは、前巻で、すは、ライナルトの大ピンチ!みたいな感じだったのが、想像よりもぜんぜん危機的ではなくて、城塞都市エスタベルデでもう一波乱あっても良かったかな?と思わなくもなかったりも。

リイチロー。このタイミングでこの外伝を挟み込んでくるのは、今後の展開に関係してくるのかな? もっと精霊や転生者絡めてファンタジー色強めにしてもいいとは思うのだけど、ほんと、このあとどうするんだろ?

[ 転生令嬢と数奇な人生を ]


2022 12 19

TOブックス
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身X」 /香月美夜

宿敵のゲオルギーネを倒し、あとは消化戦。というわけでもないけど、そろそろラストに向けてWeb版でも残りわずか。この巻でどこまで入れるのかと思っていたけど、別キャラ視点の書き下ろしを大幅に追加してきたか。Web版では魔王フェルディナンドの本領発揮で余裕の勝利に見えたのだけど、改めてフェルディナンド視点で読むと、ギリギリの勝利だったのんね。そして、思ったよりも、アナスタージウス王子は活躍していたっ!!

いや、ここにきてジェルヴァージオなる敵キャラが出てきたけれど、ぽっと出のキャラに苦戦しても興醒めなので、そこはWeb版同等に圧倒する方向で描いて欲しかった。むしろ、補強するならディートリンデですよ、ディートリンデ。今まで悪役令嬢として目立ってきたのだけど、バカならバカなりに、悪役なら悪役なりに魅力的なキャラとして成立させてくれても良かったと思うのだけど、結局、そうはならなかったのが、すごく残念。プロローグで大幅に追記されてはいるけれど、アレだと、あってもなくても変わらんよなぁ……。

とにもかくにも、次巻で、大団円っ!! ……なのか?

[ 本好きの下剋上 ]


2022 12 26

SBクリエイティブ GA文庫
りゅうおうのおしごと!(17) /白鳥士郎

帯でわかる通り、久しぶりの銀子登場。……なんだけど、正直、なんのために八一の前から消えて、このタイミングで再登場したのか、意味がわからない。演出的にも、構成的にも、マジ意味不明。作者は何がやりたかったんだ? その、この巻の最大の見せ場も「君の知らない物語」を思い浮かべざるを得ないような既視感のあるようなシーンでしかなく、ちょっとなー。

そんなこんなで銀子はともかく、ゾクゾクくるのは天衣で、絶望感を植え付けつつ八一を操る黒幕ぶりが素晴らしい。一方、あい が、もはや、伏線にすらなってないぐらい、あからさまに希望の未来を指し示していて、次巻、あいvs天衣って、うわぁ、どうなるんだ?

八一の先を識る天衣と、八一の絶望すら超える才能を開花させつつある あい。二人とも、すでに将棋界最強の八一を超えつつあるので、他に勝負になりそうな敵がいないとはいえ、ここで あいvs天衣か。最終章ということだし、おそらく物語上の頂上決戦だと思うんだけど、どんな舞台を用意してくるんだろ? すげー楽しみ。……というか、八一すら手のひらで転がす天衣の絶対的強者の貫禄が、やっぱりヤバいよなー。

[ りゅうおうのおしごと! ]