2023年 9月 4日
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KADOKAWA
◆ 幼女戦記(1) Deus lo vult /カルロ・ゼン -
BOOK☆WALKERでセールだったので購入。セールは9/7(水)まで。
『幼女戦記』といえばTVアニメ化もした人気シリーズで、異世界TS転生、俺TUEEEEEEモノ。転生先が中世近世ではなく近代大戦期のドイツっぽい国というのが特徴。なろう系異世界転生はたくさんあるけど、世界大戦の時代への転生モノはあまりないよね。
アニメはきちんと小説通りに作っていたらしく、ストーリーはだいたい記憶にある通りに進むのだけど、驚いたのは、めちゃくちゃ読みやすいのよ。いやー、蘊蓄多めで設定もそこそこ複雑だと思うのだけど、にもかかわらず、サクサク読める。普通に書いたら絶対読みにくい内容になると思うんだけど、明らかに文章がうまいよね。素晴らしい。
面白さはアニメと一緒で、元人事課長らしい合理的な内面と幼女の見た目のギャップ、その内面と見た目のせいで過度に誤解されて翻弄される展開が、ほんとおもしろい。ターニャは内面化物みたいに言われるけど、わりと現代サラリーマン的な思考でしかなく、やっぱ狂ってるのは世界の方なんだよなぁ。あー、でも、アニメと比べると、ターニャの幼女的な側面はかなりスポイルされているし、ヒロインのヴィーシャの存在感が薄い感じがする。そこら辺はちと残念。
それにしても、やたら辻政信をいぢりすぎだろ(笑)。わからんわけじゃないけどさー。
[ 幼女戦記 ]
2023年 9月 11日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ ウィザーズ・ブレインX 光の空 /三枝零一 -
完結。完結したのは素晴らしいけど、うーん。
『ウィザーズ・ブレイン』って、一人の魔法士の少女と1000万人の市民のどちらを救うか?という典型的なトロッコ問題が絶対的なテーマで、両者を救うような奇跡は起きない絶望的な世界で悩みながらも選択をしその選択に後悔しながらそれでも前に進む、ということをずっと描いてきたわけよ。
この世界の人々に誰も悪者はいなくて、みんな本当は魔法士も市民も両方とも救いたいのに、それぞれに選択を迫られそれぞれの陣営に分かれて戦っていたのよ。で、今回の選択は、どちらの陣営を絶滅させるかという今まで以上に過酷な選択で、仮にここで第三の道を選ぶのであれば、今まで以上にきちんと説得力のある選択と結果でないとありえないと思うんですよね。
もともと人類の滅亡をわずか数十年先延ばしするためだけに魔法士の犠牲者を強いるような絶望的な世界だったけれど、シリーズ終盤で描かれた魔法士と「シティ」の戦争は、両陣営のあらゆるリソースを使い果たし、いよいよ滅亡寸前まで人類を追い詰めたわけですよ。ベルリン、マサチューセッツは落ち、シティ連合は瓦解。賢人会議も多くの負傷者と離反者をだし崩壊寸前。どちらかが勝てば気象は戻るけど、単なる引き分けは選択から逃げただけでしかなく、結局、1巻の頃と比べて凄まじく状況は後退している。そして、もちろんなにも解決してない。
うーん、結局、安易なハッピーエンド。安易なだけのハッピーエンドなんだよなぁ。
[ ウィザーズ・ブレイン ]
2023年 9月 23日
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SBクリエイティブ GA文庫
◆ ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか19 /大森藤ノ -
本編ナンバリングだけど、番外編的な青春学園ラブコメ。レッツアオハル☆。
【フレイヤ・ファミリア】との激闘を終えてこともあり、今回は箸休め的な回だけど、これはこれでコミカルでいいねっ。『ソード・オラトリア(13)』で出てきた「学区」が舞台。『ソード・オラトリア(13)』では、レフィーヤは先生役だったけれど、今回のベルくんは生徒役。この立場の差はいったい(笑)。物語としても『ソード・オラトリア(13)』の裏側の話なのだけど、今回は生徒役なだけあって、むちゃくちゃコミカルな味つけになってるな。いやー、おもしろいっ!!
完全にラブコメ回でもあるんだけど、アイズの絡みがないのは残念。というか、アイズたん、ライバルたちの影に隠れすぎて、すっかりヒロイン感がなくなってしまった気がする。一方、エイナさんの妹として新ヒロインのニイナが登場したけれど、今後、エイナとあわせたラブコメ展開が楽しみですな。いや、今後、ニイナがどういうポジションになるか次第ではあるのだけど。
それにしても、『ソード・オラトリア(13)』の時も感じたけれど、「学区」という巨大学園艦の設定は、フツーに新シリーズとして使うようなネタだと思うので、『ダンまち』本体に絡めてくるのは、ホントもったいないなー。『ダンまち』もサブシリーズが色々出て追えなくなってきてるのだけど(汗;、「学区」はせめてサブシリーズで良かったんじゃないかなー、とマジ思う。
2023年 9月 24日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ ブギーポップは呪われる /上遠野浩平 -
4年ぶりの『ブギーポップ』。今回は、炎の魔女こと霧間凪に、眼鏡っ娘博士の末真さん、そして、風紀委員長の新刻敬が登場。いつも言ってる気がするけど、『ブギーポップ』シリーズはキャラがホント魅力的で、マジ素晴らしい。いやー、『ブギーポップ』での一番のお気に入りは織機綺なんだけど、霧間凪も末真和子も新刻敬もマジ好きなんよ。
で、物語の方は、深陽学園に蔓延する「呪い」にまつわる事件をそれぞれの登場人物の視点から重層的に描くというモノ。いやー、一つの事件を、視点を変えながら描きつつ、少しずつ謎に迫っていくこの構成もまた素晴らしい。そして、相変わらず、水乃星透子と百合原美奈子の影がチラつくのも、いかにも『ブギーポップ』らしくていいよね。まあ、『ブギーポップ』は、永遠にイマジネーターから進んでいない気もするんだけどさー。いや、進んでるのかもしれないけれど、上遠野浩平もあっちこっちで書いていて、今、最新の状況が描かれてるのはどこ?
[ ブギーポップ ]