アンゲルゼ


集英社 コバルト文庫
アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 /須賀しのぶ

うわぁ~、激しく陰鬱で、容赦ねぇ~~。いかにも、長期シリーズの第一巻という作りで、計算されたインパクトの強い導入になってます。ここら辺は、さすが、須賀しのぶだ。ほんとクオリティはめちゃ高いなぁ。続きもめちゃくちゃ楽しみです。

人類の敵の出現により、中学校でも軍事教練が義務化されている世界。うじうじとして気が弱い主人公・陽菜は、唯一の癒しの場となっている森の奥で、見知らぬ一人の少年と出会う……。や、とにかく、主人公の陽菜がうじうじうじうじうじうじうじうじと、見てて非常にストレスがたまる~。そして、死の臭いのするどんよりする世界観。そういう暗い雰囲気の中で、さらに容赦のない展開。もう、ほんとに凄い、凄すぎる。いや、展開そのものは、真っ直ぐに王道なんだけど、やっぱり見せ方が、めちゃくちゃ巧いよな。いやもう、非常に続きを気にさせる作りになっていて、いやぁ、続刊がほんと待ち遠しいなぁ。

[ 2008.03.05 ]


集英社 コバルト文庫
アンゲルゼ 最後の夏 /須賀しのぶ

日本総眼鏡って(^^;。あとがきに「眼鏡青春賛歌を謳いあげたアンゲルゼ二巻」とか書かれてるのだけど、中身的には、そんなに眼鏡眼鏡してないと思うぞ。

そゆわけで、「未孵化」として軍への入隊を余儀なくされ、平凡な学園生活から遠ざかっていく陽菜の日常。そんな陽菜に、さらに苛烈な運命が待ち受けていた……。という感じで、相変わらず、容赦なく追い込んでいくなぁ。いやぁ、素晴らしい素晴らしい。まあ、追い込んでるといっても、まだまだ、明るい部分はあるので、もっと苛烈にして欲しいところ。続く、初めての実戦投入と、湊の死亡イベントに期待していますっ!!<をい

[ 2008.06.07 ]


集英社 コバルト文庫
アンゲルゼ ひびわれた世界と少年の恋 /須賀しのぶ

青春だっ!! 青春すぎるよっ!! うわぁ~~、若さを爆発させてる覚野が、とにかくもう、可愛いこと可愛いこと。<をい ……そして、ヤバそうなフラグばかり立てまくる展開は、続きがすげー怖いんですが(^^;。

少しずつアンゲルゼ化が進行する陽菜。そんな悩み苦しむ陽菜も、とうとう、初めての実戦へ……。というわけで、戦時下の世界を舞台に、主人公を過酷な状況へ追い込むことで定評のあるシリーズ第三巻。相変わらず、追い込まれていく陽菜だけど、今回はそれよりも、周辺のキャラに対するフラグの立て方が凄い印象でした。というか、いかにも未来のない敷島の立ち振る舞いには、もう、涙なしには読めません(T-T)。ラストの台詞が、またもう、凄いなぁ。次巻は、冬か。各キャラの行く末が、気になって仕方ありませんっ!!

[ 2008.09.08 ]


集英社 コバルト文庫
アンゲルゼ 永遠の君に誓う /須賀しのぶ

圧巻の最終巻。大人の事情で、全五巻予定が全四巻に切り上げということなのだけど、きちんと伏線を回収し描くべき部分は描いたであろう、非常に中身の濃い一冊でした。やっぱり、もうちょっとページを割いて書いて欲しかった部分もあることはあるのだけど、むしろ、突然の短縮にもかかわらず、よくここまで上手く纏めたなぁ。

もはや遠くなってしまった日常。学校を止め家にも帰らず、ただアンゲルゼとの実戦を重ねていく陽菜に、運命は、さらなる過酷な決断を強いる……。という感じで、このシリーズも最終巻。湊と有紗の関係、陽菜の出生の秘密と父親である敷島との確執、アンゲルゼの謎、軍の思惑、そして、覚野と陽菜の二人の想い、と、非常に密度の濃い内容で、とにかく圧巻。そして、非常に綺麗なラストシーン。ほんと文句なく素晴らしい作品だっただけに、たった4巻で終わってしまったことは、とにかくもったいない。残念無念。

[ 2008.12.05 ]


同人誌
AAST /須賀しのぶ

『アンゲルゼ』の最終巻は、大人の事情によって、ラスト二巻の予定だったものを、シーンというシーンを必要最小限に削って、なんとか一冊に纏め上げられて世に出たわけですが、この同人誌は、その削られてしまったであろうエピソードを作者自ら書き下ろして補完した作品。あの日、残されることになった覚野や湊、敷島が、そして、去らざるを得なかった陽菜が、何を思い、何を決断したのか、そんな想いが綴られた短編になっています。もう、これ以上ないファンサービスっ!!

収録されてるのは、陽菜が去ったあとの島の人々を描いた「クリスマスプレゼント」と旅立った陽菜とロンを描いた「金の女王と銀の翼」の二編。いやぁ、特に、「クリスマスプレゼント」が素晴らしい。覚野、湊、敷島の想いと終章に至る決断の経緯。うわぁ、熱いなぁ。……や、あの最終巻も非常に素晴らしいと思ったのだけど、この補完短編は、最終巻を読んだのであれば、ぜひとも読むべきエピソード。これを同人誌の形といえど出版していただいたのは、とにかく感謝だよなぁん。

[ 2009.08.21 ]