出雲神話の誕生


講談社 講談社学術文庫
出雲神話の誕生 /鳥越憲三郎

日本神話といえば近親相姦のパラダイスという印象があったので、そういうのを期待してたのだけど、ぜんぜん違って、しょぼん。『古事記』や『日本書紀』に記載された出雲神話の矛盾から、古代出雲のほんとうの姿を映し出す、という内容。

とにかく不親切で回りくどく、論旨が一定してない文章なので、非常に読むのに苦労したのだけど、大雑把に内容を纏めると、以下のような感じらしい。

疑問:
古代出雲の中心は熊野なのに、記紀には、杵築しか出てこないは何故?
- 杵築は、古事記編纂当時、まだ開発がはじまったばかり
- それが、古事記の編纂後、不自然にいきなり発展する
- 出雲の中心の熊野も、その他大勢の一地方都市レベル
- 古事記の内容に、出雲で一番偉い出雲国造はノータッチだった
- 出雲神話となってるものは、他地域の神話の流用が多い

結論:
1) 『古事記』『日本書紀』の出雲神話は、中央の人の創作
2) 創作を既成事実とするために、編纂以降につじつまあわせが行われた
3) つまり、古代出雲大国なんてなかったんだっ!!

40年前に書かれた著作の文庫化で、当時、挑戦的な内容だった。その後、研究の進展はあるが、加筆修正は特になし。……ということらしいのだけど、これって、どれだけ信頼できる内容なんでしょ(^^;。や、文章自体が読みにくい上に、日本の古代史に詳しい人前提な書き方なので、まいっちんぐ。

[ 2006.10.19 ]