神と奴隷の誕生構文
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アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神と奴隷の誕生構文 /宇野朴人 -
厨二設定のオンパレードっ!! なにが凄いって、それ一つで作品一つ書けるんじゃないか?ってぐらいの豪華な設定が次から次へと、それはもう、惜しみなく投入されてるのよ。逆に、それだけ多くの設定が投入されているので、設定を肉付けするために必要なページがぜんぜん足りてない。結果、リアリティも説得力もない凄い設定がやたら並んでる厨二っぽい作品になってるのんな。ただ、次々投入される設定から生み出される勢いは素晴らしく、誤解を恐れず言えば、今川泰宏監督を彷彿とさせる方向性の作品なのだけど、やっぱり、かなり人を選ぶと思う。
内容は、滅亡寸前のロケィラ皇国に「若き神」を名乗る若者が現れ勝利へと導く、という感じで、基本は異世界ファンタジー。と思ったら、すぐさま SFっぽい設定も投入されたりして、とにかく驚くべき設定の連続が凄すぎる。いや、キャラが魅力的とか、展開が面白いとかではなく、マジに、次々と追加される設定の連続が凄い作品で、これはこれでアリだと思うし面白くはあるんだけど、この勢いでネタを消費して二巻以降は持つんだろうか? いかにも新人らしく勢い重視の作品なんだけど、ネタ切れになったとたんに息切れしそうな、そんな不安が……。
[ 2010.11.01 ]
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アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神と奴隷の誕生構文II /宇野朴人 -
武力でなく外交交渉メインだと……。いや、この作家さんって、「細かい齟齬はなんのその、強引に勢いで読ませる」タイプだと思うのだけど、細かなやり取りを積み重ねていく交渉ごとがメインというのは、正直、作風と内容があっていない予感が。実際、終盤のバトルは面白かったものの、それまでの展開は微妙……。
というわけで、異世界ファンタジーな本作。1巻は、やたら設定過多で展開の速さが特徴の作品だったけど、この2巻は一転、隣国アヌビシアの説明に大きなページを割くように、ある意味でわりと普通に。でも、鎖国をしているアヌビシアと外交努力で同盟を求めていくという展開は、やっぱり、作風にあっているとは思えなかったり。あと、ヒロインたちとのアレコレも、どうにも浮いてるようにしか見えないんだよなぁ。設定で魅せていく作品なら、萌え要素は必ずしも必要ないと思うのだけど。
まあ、この作者の作風を考えると、どうせなら、熱い格闘メインの小説にしてくれればいいのに(^^;。特にこの2巻は、最強の神殺しルダとの闘いが光ってた印象。ていうか、[漫画]『修羅の門』の龍造寺徹心すぎる(笑)。クルァシンが強敵との闘いを重ねていくことで祖武神の技を極めてく……、そんな展開を期待していますっ!!
[ 2010.11.05 ]