メイジアン・カンパニー


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー /佐島勤

高校卒業二年後から再スタート。……二年後なのに、あんまり物語が進んでない。二年もあれば世界征服ぐらいしててもいい気がするんだけどなぁ。

まあ、二年間何をやっていたかというと、魔法師改めメイジアンの新しい組織を立ち上げる準備をしていたらしく、その国際組織「メイジアン・ソサエティ」及び、日本国内の社団法人「メイジアン・カンパニー」を設立することからはじまるのが、この続編「メイジアン・カンパニー」ということになります。

今回は、新シリーズスタートということで、状況説明と新キャラの顔見せという感じ。本格的に物語が動き出すのは次巻からかなー。しかし、達也と光宣が組んであのシステムを使えば、秒で世界征服できると思うんだけど、この後、どうするつもりなんだろ? 一応、敵として登場してきた「FAIR」とか、あんな雑魚っぽい組織、なんで今回で壊滅させず次巻へ続けるんだ? キーとなる社団法人「メイジアン・カンパニー」も目的がすごくしょぼくて、なんか期待できる要素が見当たらない。あとがき読むと、未回収要素を回収したいってことらしいのだけど、そのためだけにダラダラ続けるって凄いな。佐島勤らしいけど。

[ 2020.10.20 ]


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(2) /佐島勤

大学三年生になった達也たちを描いた『魔法科高校の劣等生』の続編シリーズ第二弾。

このシリーズは、やっぱ、メイジアンへの差別解消とその過程で生じる非合法過激派組織「FAIR」との対決が物語の主軸なのかなぁ。達也たちって、世界の大国と比べても圧倒的な戦力を保有する集団になってるんだけど、その達也たちの敵が単なる犯罪者集団。雑魚っぷりが半端ない。

「FAIR」だけでなく、一応、日本を陰で支配する偉い人も敵になりそうな雰囲気だけど、その日本を陰で支配する元老院も、そもそも設定は前から無理があると思っていて、だって、四葉や他の魔法師集団を子飼いにしているので日本を裏から支配するだけの権力を持ってるという設定なんだけど、それって、どう考えても虎の威を借る狐でしかなく、十師族より権力があるって無理無理、ふつーに考えれば十師族の代理組織だろ。実際、その一角を占める東道閣下は、達也の便利なパシリだしなぁ。

まあ、達也がチート過ぎるんだよなぁ。達也の能力があれば、世界中のどこに隠れても監視&攻撃可能というね。ここまでチートだと、達也が動いた途端にすべてが解決してしまうので、作者としても物語づくりは大変なんだろうな、とは思う。さらにそのうえで、軌道衛星「高千穂」というチート兵器まで導入しちゃって、どうするんだ? いや、「高千穂」のおかげで、光宣とか達也以外の見せ場が増えるという話はあるけど。

それにしても、達也が動かないにしても、光宣と水波のあの展開で、なぜ、光宣がそのまま「FAIR」を潰しに行かないのか、まったく納得できないんですけど!! なんだか、できるだけ物語を進めないように、無駄に引き延ばししてる感じがする。

[ 2021.04.26 ]


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(3) /佐島勤

本編、そして、一条とほのかの短編を含めた三部構成。うーん、一条とほのかの話は、完全にいまさらで蛇足感が凄い。この短編、必要? こういう無駄な話を入れてくるのは、ものすごく佐島勤らしいといえばらしいんだけど。

本編のほうは、いやいや、ちょっと突っ込みどころが酷いだろ。『魔法科高校の劣等生』の世界だと、今の平和な日本と違って、防衛大臣は今よりもずっと重要なポストだと思うんだけど、その防衛大臣がなんで論功行賞のお飾りなんだよ。大臣含めた内閣よりも元老院を国の中枢として強調したい演出だってのはわかるんだけど、その元老院の樫和も、いろいろと迂闊なバカにしか見えないんだよなー。だってさー、樫和以外の関係者は殺す殺さないって話になってるんだぜ。それで、樫和を殺すって話にならないのはすげー不自然ではあるんだけど、そもそも、この程度の案件で安易に虎の尾を踏みに行く樫和さんは、迂闊すぎて自殺癖でもあるようにしか思えない。まあ、樫和を出しておきたい物語上の都合なんだろうけど、マジにバカなの?

今回の達也のデモンストレーションも、魔法技術の有益性を示すというほどぜんぜん有益ではなく、むしろ、「大気圏外からの大質量攻撃がいつでもできる」という脅しにしかなっていないんだけど、作中では誰もそのことに触れてないのもすげー気持ちが悪い。なんだこれ?

[ 2021.11.24 ]


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(4) /佐島勤

非合法過激派組織「FAIR」、達也が絡んでからの扱いがめちゃおもしろすぎる(笑)。

お話としては、達也が強すぎるので、いかに達也が動くのを遅くするか、達也が動いてからいかに圧倒的な力で叩き潰すかが肝ではあるんだけど、いやー、わざわざ真由美のアメリカ旅行が完全に無駄なエピソードになってるのが凄い。達也の参戦を遅くしレナの見せ場を作るためとはいえ、もうちょっとプロットなんとかならんかったのか。ただ、達也参戦からは、期待通りにおもしろくて、もう、達也と光宣が無双すればそれだけで最高におもしろいんだよな。このシリーズ。

あとがきを読むと、うわー、一応悪役扱いのローラ&ディーンを、まだ使うつもりか!? 全然期待できない(笑)。というか、ここからが『メイジアン・カンパニー』の本格的な物語になるのんね。目指すところは、菊地秀行のエイリアンシリーズって、今までと全然違うテイストだと思うんだけど、大丈夫なんだろうか。

[ 2022.05.30 ]


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(5) /佐島勤

いやー、全巻のあとがきで書いていたけど、ほんと菊地秀行のエイリアンシリーズがやりたかったんだなー。

そゆわけで、古代のロストテクノロジーを求めて中印紛争の地、チベット、そしてウズベキスタンへ。近未来SFだったのが、もう完全にトレジャーハンターものになってます。そして、ロストテクノロジーといえば、やっぱりチベット仏教盛んな中央アジアですよ。いやー、素晴らしい素晴らしい。でも、シャンバラと言ったら、むしろ、リグ・ヴェーダじゃなかったっけ? リグ・ヴェーダについてなんか書いてたっけ?

バトル方面では、新しい敵として、「八仙」という中国の特殊工作部隊が登場。いきなり光宣が苦戦してて、いやいや、苦戦なんて描いてどうするよ?と思ったのだけど、きちんと達也様は無双していて安心した。今更、戦略級魔法師より数段の格下を出してきて苦戦とか、マジやめて欲しい。できれば、達也様だけでなく、光宣あたりもきちんと無双してほしいよねー。『続』になってから加わった遼介あたりは仕方ないけど。

その遼介、確実に、真由美とのラブコメ要員となっていて、楽しい楽しい。でも、真由美とくっついたら、ちょっとがっかりなとこあるよね。そして、文弥ぁぁぁぁっっっ!!

[ 2022.11.21 ]


KADOKAWA 電撃文庫
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(6) /佐島勤

トレジャーハンターに路線変更した『メイジアン・カンパニー』、これはマジおもしろいな。現代を遥かに超える超古代文明の遺産とか、すげーロマンある。この路線ならお兄様が苦戦する展開もワンチャン、……と一瞬思ったけれど、この作者、ほんと苦戦させるつもりが1mmもないのな(笑)。

せっかくの宝さがしなのにまったく達也が苦戦しないので、作者も高千穂をいかに使わせないかと変な方向に苦心してるのは一体(^^;。高千穂を使うと一瞬でお宝をゲットできるので、全然物語が作れないのはわかるんだけど、なぜ、わざわざ不自然な方向で頑張るのか。そこまで、達也に苦戦させたくないのか。で、宝さがしそのものが盛り上がらないので、周りのキャラのリアクション芸頼りになってる気がする。特に、リーナが酷い。いや、それがまたおもしろいのだけど。

トレジャーハント以外だと、真由美さんのラブコメ展開も愉快でおもしろいのだけど、悪役のローラというか「FAIR」があまりにクソ雑魚すぎるのが心配だなー。次巻は、その「FAIR」との対決になるのかな? うわぁ……。

[ 2023.07.31 ]