古典部シリーズ


角川書店 スニーカー文庫
氷菓 /米澤穂信

とにかく、とにかく、千反田、千反田、千反田~~~っ!!

「省エネ」をモットーにする主人公が、古典部に入部したのをきっかけに、好奇心旺盛な女の子に振り回されるようになる、学園青春ミステリー。とにかく、千反田。地方の名家に生まれるお嬢様なのだけど、この行動様式は、素晴らしい~~。や、すごく面白かったよ~~。

魅力のほとんどは、千反田なのだけど、あと、ストーリー構成も、なかなか上手くて、ぐぅ。ただ、ミステリーとしては、私的には、消化不良でいまいち。やっぱ、ミステリはよくわからん、ということかも。まあ、千反田が素晴らしいので良いのだ~~。

[ 2002.09.12 ]


角川書店 スニーカー文庫
愚者のエンドロール /米澤穂信

[文庫]『氷菓』のシリーズ第二段。……う~ん、いまいち。<千反田、存在感薄いし(^^;

や、ミステリネタ満載、という話なのだけど、やっぱ、ミステリはよくわかりません。一応、中学の頃に、『ホームズ』は一通り読んでるのだけど、タイトルを見ても、さっぱり、内容、記憶にないし。あと、ミステリー仕立てになってるのだけど、読んでて、いまひとつ驚きがないんだよなー。……や、そもそも、もちっと、女の子を前面に出してくれると、うれしいんだけど(^^;。

[ 2002.09.12 ]


角川書店
クドリャフカの順番 「十文字」事件 /米澤穂信

米澤穂信の作品は、相変わらず、良く練られていて巧さを感じさせるのだけど、「萌え」はどうしたっ!! 「萌え」はっ!! <をい、って、キャラがちと物足りない予感(^^;

そゆわけで、お馴染み古典部の面々が問題を抱えつつ文化祭に望む、という話。伏線が無駄なく丁寧に配置されていて構成面は良く練られているし、「にやり」とさせるような細かな遊びが随所の盛りこまれていて、ほんと、非常に良く出来た作品。いやぁ、湯浅部長がなかなかいいねぇ~。あと、なによりラストに感じる「せつなさ」が、もう、たまらない~~。……まー、私的には、千反田も折木もわりとフツーのキャラになってる風なのが、ちと残念ではあるのだけど(^^;。や、古典部 4人それぞれの視点で描くということもあって「身近に感じる等身大のキャラ」みたいな方向では成功してる予感だけど、米澤穂信のキャラは、もうちょっと変な部分を強調した方が魅力的だと思うのですけど~。

[ 2005.07.09 ]


角川書店
遠まわりする雛 /米澤穂信

素晴らしい。特に、表題の「遠まわりする雛」が、非常に綺麗で繊細な恋愛モノとして仕立ててあって素晴らしい。ていうか、古典部シリーズで、まさかこういう内容を持ってくるとは思わなかったよ。

そゆわけで、古典部シリーズ最新刊。省エネを信条とするホータローと「わたし、気になります」が決め台詞の千反田えるを中心とする青春ミステリー。今回は、雑誌連載分を纏めた連作短編。単行本では時系列通りに並んでるけれど、初出をみると、必ずしも時系列順に書かれたわけではないのんな。なんでわざわざ、そういう風にしてるんだろ?

それはともかく内容的には、謎解きメインの小話が中心なので、私的にいまいち楽しめなかった話も少なくなかったんだけど、「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」の三編が、いやぁ、良かったっ!! 特に、「手作りチョコレート事件」→「遠まわりする雛」は、微妙な心情を綺麗に描いた、青春で恋愛な物語になっていて、ほんと面白かったです。しかし、次から微妙に書きづらいそうな気もするけど。

[ 2007.10.08 ]


KADOKAWA 角川文庫
ふたりの距離の概算 /米澤穂信

『いまさら翼といわれても』が文庫化したので買ったのですが、その前作の『ふたりの距離の概算』も読んでなかったことに気づいたので購入。……買い損ねてたから言うんだけど、ちゃんとタイトルに「古典部シリーズ」入れて、巻数も記載して、もっとわかりやすく売ってほしいよなぁ。あと、ラノベレーベルじゃないと見逃がしやすくなるので、「角川スニーカー文庫」からも出してほしい、イラストなくてもかまわないので。

まあ、それはともかく、この『ふたりの距離の概算』は、古典部に仮入部したものの急に入部を取り止めた新入生・大日向友子の謎を軸に、この数か月の日常を振り返る連作短編形式のミステリー。マラソン大会中に追い抜いていく古典部の仲間と一言二言言葉を交わしつつ過去の出来事を振り返るという構成なのだけど、この構成とタイトルが秀逸。タイトルの『ふたりの距離の概算』というのは、マラソン大会中の物理的な距離と、すれ違ってしまった心の距離を二つの意味を重ねてるわけよ。マラソンを走りながら謎を解くとか、明らかにおかしいのだけど(笑)、このアイデアは愉快で楽しいよね。

古典部の新作を読んだのは10年ぶりだったのだけど(^^;、その時間を感じさせないくらいに自然にキャラが思い浮かんで、いまさらだけど、すげーキャラが立ってるのんな。各キャラに明確なモットーを持たせているのは、露骨な感じもするけど、キャラを立てる上では非常に有用だわ。……しかし、千反田は、もっと萌え成分が多めだったと思ってたのだけど、いや、そもそも千反田らしく活躍するシーンが少なくなくない?

[ 2019.06.25 ]


KADOKAWA 角川文庫
いまさら翼といわれても /米澤穂信

子供のころ、「学校でも大っぴらに漫画を読めるクラブを作ろうぜ」と友人たちと学校へ申請したら、活動内容がいつの間にか「漫画を描くこと」になってたことを思い出しました。

それはともかく、この『いまさら翼といわれても』は、古典部シリーズの最新刊。どこかの雑誌でそれぞれ単発で書かれた短編をまとめた短編集ということかしら? 奉太郎と里志が生徒会長選挙の謎に迫る「箱の中の欠落」、伊原が中学の卒業制作の真相を追う「鏡には映らない」、奉太郎が中学時代の先生の発言の真意を確認する「連峰は晴れているか」、伊原の漫研でのいざこざを描いた「わたしたちの伝説の一冊」、奉太郎が省エネなモットーを持つに至った過去を語る「長い休日」、そして、表題、千反田の内面に迫る「いまさら翼といわれても」。

いやぁ、「長い休日」「いまさら翼といわれても」が、シリーズの核心に迫るような、今後のターニングポイントになりそうな内容なのだけど、そもそも古典部シリーズの続きはいつだ(^^;。そして、収録されている短編のどれも、千反田の活躍があんまり描かれてなくて、そこは残念。もっと千反田を書け、千反田をっ!! まあ、千反田的にも「いまさら翼といわれても」のラストは素晴らしかったけれど、ただ、むしろ今後の展開が気になるって内容だしなぁ。もっとどんどん続きが出ないことには……。

[ 2019.06.26 ]