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小学館 ガガガ文庫
プロペラオペラ /犬村小六 -
犬村小六が送る新シリーズ。『とある飛空士シリーズ』を彷彿とさせる空戦モノですよ!! 第一王女イザヤと国賊として皇籍を剥奪されたクロトが、大国ガメリア合衆国に立ち向かうファンタジー戦記。国のために生命を賭けて、絶望的な戦いに身を投じる展開。この一巻から、熱く感動的な展開で、素晴らしい、素晴らしい!!
物語の下敷きになっているのは太平洋戦争で、開戦初期のアメリカと日本を固有名詞を変えつつなぞったような設定なのだけど、ところどころ、現実の固有名詞そのままなのは、どういう演出だ!? ミッドウェイ海戦よろしく、日之雄艦隊の危機的状況からの決死の艦隊戦が熱い!! いや、熱いだけではなく、コメディ多めのラブコメ展開もいいんだよなぁ。自信家で大言壮語なツンデレ気質の主人公って、駆逐艦「井吹」の他の乗組員を含め、とにかくコミカルな雰囲気なのだけど、それが、悲惨な戦争に突き進む物語にいい感じでアクセントになっていて、いい味出してる。おもしろい。
しかし、敵役のカイルは、金を持ってるだけの小物にしか見えなくて、クロノの敵としては、ちょっと物足りないよなぁ。そもそも、軍事で勝っても経済で勝たないと意味がないように思えるのだけど、そこら辺、どうしていくつもりなんだろ?
[ 2019.09.30 ]