好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! - 2023年5月


2023 5 7

KADOKAWA
悪役貴族として必要なそれ(1) /まさこりん

カクヨム発、悪役転生モノの書籍化!! 悪役転生もたくさんあるけど、カクヨムで読んでてすげー好きだったんですよね。

悪役転生はなろう系の定番の一つで個人的にも好みでよく読むんだけど、この作品が特徴的なのは、転生先の悪役貴族が視点を変えると悲劇の人物というところ。元の物語では悪の中の悪として討伐された悪役貴族が、実際は、国のために汚れ仕事を担い、最後はヘイトを集め国に殉じて死んだ悲劇の人物だったというね。そんな貴族に転生しても、現代の視点では悪そのものの汚れ仕事を止めるわけにはいかず、むしろ悪であることを矜持とし、討伐されないように手を打っていくのがおもしろい。悪役転生でありながら、悲劇のうちに殺された不器用な善人による「ざまぁ」系の物語にもなっているのが良いのよね。

元の物語では直情的で単純な勇者が主人公であったために見えなかったと思われる、様々な陰謀やそれぞれの登場人物の事情や思惑を見せているのもおもしろい。いや、聖女があからさまな黒幕扱いになってるのだけど、元の物語では、一体どういう描かれ方されてたんだ、これ?(笑)。

たぶん、カクヨム版と書籍版で内容はほとんど変わらないと思うのだけど、ただ、カクヨムで一年ぐらい更新が止まってたのが書籍化で新規に更新されたのが良い。って、カクヨムで今から続きが掲載されるとして、書籍の続きが出るの一年以上後になっちゃいそうなんですが。

[ 悪役貴族として必要なそれ ]


2023 5 11

TOブックス
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身XI」 /香月美夜

えっ、今回で完結じゃないだと……。

いや、Web版では何度もラストまで読んでいて残りの文章量から今回で完結かと思ってたんですが、まさか次巻に残すとは思わなかった。Web版の終盤の展開は好きで、ここは間髪入れずにラストまで書き切った方が余韻を感じさせるし読後感もいい気がするのだけど、まあ、次巻を読まないことには良し悪しは判断できないか。次巻は冬とのことなので、だいぶ先だー。

終わってないということは、当然、Web版からの加筆がたくさんあるということなのだけど、うわぁ、神様たち人間味ありすぎる(笑)。英知の女神メスティオノーラのやり取りがかなり追加されてる印象だけど、メスティオノーラさん、こんなキャラでしたっけ? そして、対するフェルディナンドも大人気なくて、これはめちゃくちゃ楽しい。こういう加筆はすごくいいですね。

そして、最後の大規模魔術の場面はWeb版から好きで想像するだけでもビジュアル的に凄く素敵なので、いつかきちんと映像で見たいなぁ。

[ 本好きの下剋上 ]


2023 5 22

KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(6) /杉井光

あとがきでは、コンクール対決が中核のように書かれているけど、どう考えても、真琴の、いや、物語としてもスクラップ&ビルドを目指したお話。このまま完結してもいいような、非常に素晴らしい読後感で、それはある意味いつも通りだけど、まだまだ続くよね? PNOや華園先生との関係も大きく変えそうな予感を感じさせつつ、物語としては着地点が見えない。アーティストとしては、すでに、凄い領域にまで到達してると思うので、このあとどうエピソードを作っていくんだろうか。

とにかく、今回で、伽耶も後輩として入学してきて真琴たちも二年に進級。進級したばかりなので、いろいろイベントはあると思うのだけど、ほんと、どこに進むんだ、この物語?

[ 楽園ノイズ ]