2021年 5月 10日
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小学館 ガガガ文庫
◆ やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(14.5) /渡航 -
八幡と雪乃の会話がたまらん!! くぅ~~、ごろごろごろ~~~~~。
昨年、14巻で完結した『俺ガイル』の未収録なショートストーリーと後日談を集めた短編集。いや~、最近の『シン・エヴァ』や『ウマ娘』のネタが入ってるのは流石ではありつつ、すげー違和感あるわ(笑)。『ウマ娘』はアニメはあったけれど、ゲームのリリースは2月だよね!? 出版まで二か月ないんだけど、どういうタイムスケジュールだ??
内容的には、その後のキャラ達の関係性が、そのまんまでありつつも変化があるのが、やっぱ面白い。特に、八幡と雪乃の変化がめちゃくちゃ楽しい。そして、小町の出番が増えた代わりに、平塚先生の出番がないのが寂しいなぁ。
これで、『俺ガイル』も本当に終わり、と思ったら、新プロジェクト進行中か。なにやるんだ?
2021年 5月 17日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ 楽園ノイズ(2) /杉井光 -
杉井光節っ!! やっぱ、青春音楽モノを書かせたら、杉井光はめちゃくちゃおもしろいわっ!!!!
1巻が綺麗に纏まっていたので、まさか続編が出るとは思わなかった。シリーズ前提だったのか。杉井光らしい主人公と天才的な演奏センスを持つヒロイン三人の高校生バンドを描いた青春音楽モノ。内容的には、家族関係のイベントも発生するのだけど、それはわりとどうでもよくて、キャラ達がわちゃわちゃ会話しているだけで、すげーおもしろい。そして、杉井光の筆致が、やっぱり最高っ!!
ただ、1巻でキレイにまとまっていただけあって、アレから続いても大きなストーリーがよく見えないな。まあ、キャラ達がわちゃわちゃしてるだけでダラダラ続いても、それはそれでありな気もするけれど。メジャーデビューする方向で進むのかなぁ。
[ 楽園ノイズ ]
2021年 5月 26日
ゼロ年代にはライトノベルの起源はいつかって話がありました。ライトノベルの祖先を遡ってくと、1980年代のソノラマコバルト、1960年代のジュブナイル、戦前戦後の少年少女小説、さらには『南総里見八犬伝』や『源氏物語』まで、いくらでもたどっていけるんですが、どこからライトノベルと呼べばいいのかって話ですね。
いや、先日、羽海野渉さんのライトノベル史の記事があったのですが、
ベースにしている論考が、いくつかあるライトノベル起源論のなかで、よりにもよって大橋崇行の少女少年小説起源説なんですよ。さすがに、大橋崇行の少女少年小説起源説はないと思うので、ゼロ年代にいくつかあったライトノベル起源論の話をまとめてみようと思います。
大橋崇行の少女少年小説起源論
大橋崇行は『ライトノベルから見た少女/少年小説史』で、ライトノベルの起源を戦前戦後の少女少年小説としているんですが、その理屈は以下のような感じです。
- 1950年代以前の少女少年小説と、1970年代以降のライトノベルにつながりはない
- だが、少女少年小説から漫画、漫画からライトノベルになったと考えれば、ライトノベルの起源は少女少年小説といえる
大橋崇行の論考によれば、少女少年小説の中に現代ライトノベルの特徴のいくつかは見られるものの、結局、少女少年小説のラノベっぽい部分は次代の小説に継承されていない。そこで、継承先として漫画を持ち出すんですが、でも、ライトノベルが漫画の影響を受けたのは事実として、小説の系譜に漫画を組み込んじゃうのは、さすがに無理ある。本来は、いくつかの小説を介在させて接続すればいいんですが、大橋崇行の主張は、少女少年小説がライトノベルというより漫画やアニメ文化全体の礎になっているというものがなので、ライトノベル論としてはちょっとおかしくなっちゃってるんですよねー。
じゃあ、大橋崇行以外のライトノベルの起源に関する言及はどうかというと、ライトノベルっぽい小説が出るようになった1970年代か、ライトノベルのスタイルが確立した1990年前後に置くケースが多いです。
大森望の『超革命的中学生集団』起源論
『超革命的中学生集団』は、1970年に学習雑誌『中一時代』で連載され、1971年に朝日ソノラマのサンヤングシリーズから出たSF小説です。
サンヤングシリーズは、ソノラマ文庫の前身となるハードカバーのレーベルで1969年創刊。サンヤングシリーズはほとんどライトノベルみたいなラインナップらしいんだけど、意外とライトノベルとはみなされてません。あくまで、ライトノベルではなくジュブナイルと言われてるんですよね。ジュブナイルとライトノベルの違いは、健全なのがジュブナイルで不健全なのがライトノベル。ジュブナイルは多少の教条的な要素がある一方、ライトノベルは徹底してエンターテイメントと言われてます。
で、サンヤング版の『超革命的中学生集団』って、『ハレンチ学園』の永井豪がイラスト書いてるんですよ。しかも、あのPTAから敵視された『ハレンチ学園』連載中に。『超革命的中学生集団』は内容的にも中学生のリビドーに訴えるものになっていて、そりゃもう不健全です。なので、大森望は、同時代のジュブナイルと見比べて、『超革命的中学生集団』をライトノベルの原点としています。
早見裕司の秋元文庫起源論
1973年、日本の作家を多数そろえた初の中高生向けの文庫レーベルが誕生します。秋元文庫です。
秋元書房は、もともと1955年ぐらいから秋元ジュニアシリーズを刊行していました。秋元ジュニアシリーズもサンヤングシリーズと同様にジュブナイルの名作をそろえたレーベルだったのですが、それが、1970年代前半の第三次文庫ブームにのって文庫のレーベルに生まれ変わります。
今ではライトノベルにも単行本レーベルがありますが、もともとライトノベルは文庫レーベル中心です。なぜ文庫かというと、学生向けの値段設定ですね。ライトノベルってのは不健全なので、大人に買ってもらったり図書館で借りたりするものではなく、自分のこづかいで買うしかない。なので、内容が一緒でも、文庫レーベルかどうかというのは、ライトノベルか否かを判断するうえでめちゃくちゃ重要な要素だったんですよ。
ラインナップを見ても、少女向けからSFまでそろえる秋元文庫は、非常にライトノベル的です。そこで、早見裕司はライトノベルの起源として秋元文庫の創刊を挙げています。
ソノラマ文庫やコバルト文庫の創刊を起源とする説
『このライトノベルがすごい!』をはじめとして、1975年のソノラマ文庫創刊、もしくは、1977年のコバルト文庫創刊をライトノベルの起源としてる人も多いです。
1980年代には消えたっぽい秋元文庫と違って、ソノラマ文庫もコバルト文庫もライトノベルと呼ばれるようになる時代まで生き残り、ライトノベルレーベルと認められているのが強いです。ライトノベル定義論の一つ「ライトノベルレーベルから出ているのがライトノベルだ」という説に従えば、もう完全にソノラマ文庫、コバルト文庫の創刊が、ライトノベルの始まりです。
1990年ライトノベル元年説
書籍だと『ライトノベル「超」入門』で新城カズマが1990年をライトノベル元年と言っていたと思いますが、ネット上では、1990年前後をライトノベルの起源とする人も多いですよね。1988年の角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫の創刊辺りをライトノベルの起源とする説です。
新城カズマは1990年の『スレイヤーズ』を狭義のライトノベルの基本形式を決定づけたとしています。初期のソノラマ文庫やコバルト文庫は、まだ、ライトノベルとしては発展途上で、今のスタイルを確立させたのが1990年頃という感じですね。多くの人のステレオタイプなライトノベル像って、いまでもだいたい『スレイヤーズ』だと思うんですが、それだけ、『スレイヤーズ』の影響ってでかいんですよ。
[ 大橋崇行とライトノベルの起源 ]
2021年 5月 31日
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オーバーラップ オーバーラップ文庫
◆ 死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くVI /彩峰舞人 -
うわー、うわー。ラストを含めて衝撃の展開ばかりと思ったら、次で最終巻かぁー。ラストにかけて巻きが入っていて、いろいろ凄いことになってるよー。
個人の俺TUEEEEEと国家間の戦争をうまく融合していて大好きな本作。今回は、王国の命運を賭けたオリビア率いる第八軍の反攻作戦からの展開で、序盤こそ帝国深く攻め入ることに成功するも、だんだんとフェリックス率いるの蒼の騎士団により追い詰められていく……。と、前巻では、オリビアが一気に帝国を滅ぼす勢いだったのに、いつの間にか劣勢になってるんですけど(汗;。そして、間あいだにサイドストーリーを挟みつつ、物語は一気に佳境へ。って、いろいろ展開が急ぎすぎだろっ。あとがきによれば、次巻で完結ってことらしいのだけど、もうちょっとじっくり書いてほしかったなー。フェリックスとの対決とか、正直、いろいろもったいない!!
そして、ラストが、フラグ通りとはいえ大変なことになっちゃっているんですけど、うわー、どうなるのこれ!? マジ、どうなるのっっっっ????