-
小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への誓約9 /犬村小六 -
「たとえ敵味方に別れようと、我々は憎みあうことはない。友情は永遠だ」
最高傑作。あまりに素晴らしくて、途中から、ひたすら泣きながら読んでいました。『追憶』『恋歌』『夜想曲』『誓約』と続いた飛空士シリーズの全ての物語が収斂されて結実するハッピーエンド。ミオのもたらした情報からバルタザールが作戦を立案し、清顕とイリアは、捨て身のプレアデス強襲を実行する……。エリアドールの七人をはじめ、クレアを迎えに行くカルとカルを信じて待つクレア、さらに、シャルルと千々和の想いを乗せた空戦。いや、ジェット機の登場で戦闘機の性能が勝敗を左右する時代の到来を感じさせる中、最高の技術を持つ飛空士たちのレシプロ機による空戦もまた素晴らしい。シリーズすべての想いが、この一冊に収斂し凝縮して描かれるさまは、まさに最高傑作以外のなにものでもないよね。
まあ、振り返ってみると、どうみてもバルタの物語で<をい、清顕とイリア、ミオの出番はさすがに厚いのだけど、カルとクレアの二人は、もう少し焦点当てても良かったような気がしなくもない。あと、エピローグを見ると、みんな気楽なのにセシルは微妙に貧乏くじ引いてるよ。……なにはともあれ、ほんとうに素晴らしい最終巻でした。
[ 2015.11.19 ]