好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! - 2018年6月


2018 6 5

集英社 ダッシュエックス文庫
死なないために努力していたら、知らないうちに神でした /真実川篝

「小説家になろう」発の異世界転生。Web版で途中まで読んで面白かったので購入してみたのだけど、……えっと、Web版と別物なんですが(T-T)。

あとがきを読むと、編集部のオーダーでWeb連載の200話近くをむちゃくちゃ圧縮して1冊に纏めたということなのだけど、うん、出来の悪い総集編でしかなくて、これ、アカン奴だわ。ゴミ。序盤を読んで、主人公を女の子にしたのは悪くない改変かとも思ったのだけど、読み進めるてみると描写もエピソードもどんどん削ってストーリーを進行させてるだけ、魅力もなにもあったもんじゃない。担当編集は日比生というのか、もし、「小説家になろう」で書籍化打診されてる方がいたら、ダッシュエックス文庫からだけは止めたほうがいい

「小説家になろう」掲載分 をそのまま書籍化すればいいものを、わざわざ酷い改変してなにがしたいんだ? 原作の魅力を潰して書籍化するとか、最悪以外のなにものでもない。で、文章改変が酷いのだけでなく、イラストのチョイスも酷くて、このイラストのどこが幼女なんだ??? いやー、この1巻では、転生してから七歳までが描かれてるのだけど、赤ちゃん言葉を喋ってるような年齢の場面でも普通に少女のイラストで描かれていて、この編集者は、何故このイラストレーターを選んで、なにをチェックしてるんだ? この編集者、どう見ても無能だ、無能の極致。こんな編集者に本を作らせたらアカンやろっ!!!!!!!!

[ 死なないために努力していたら、知らないうちに神でした ]


2018 6 11

TOブックス
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部「貴族院の自称図書委員III」 /香月美夜

号泣(T-T)。ルッツとのやり取りがもう泣ける。感動しかないっっっ!!

さて、読書狂が異世界転生する本シリーズ。主人公ローゼマインの貴族院での生活を描いた第四部も今回で1年目が終了。学校生活は、入学した第四部開始当時に比べると、いまひとつ波乱も少なく面白みに欠ける印象は否めないかな。いや、ハンネローレ様との絡みは面白かったりするんだけど。……それよりも、うわぁ、やっぱり戻ってきてからのルッツとのやり取りが泣けた。もう、ひたすら号泣ですよ。大号泣です。

しかし、ローゼマインの恋人役はてっきりルッツかと思っていたのだけど、ここでヴィルフリートの参戦にちょっとビックリ。いや、どう考えても恋愛に発展しそうにないんだけど(^^;。あと、アンゲリカは本文の様子と挿絵の綺麗さのギャップにいつまでも慣れない(笑)。本文でも美少女となってはいるんだけど、やっぱ、こういう内面と外面のギャップは挿絵があるとめちゃくちゃ破壊力高まるよなぁ。

[ 本好きの下剋上 ]


2018 6 19

オーバーラップ オーバーラップ文庫
影の使い手(1) 最強の隠密勇者 /葬儀屋

小説家になろう」で読んで面白かったので購入。よくあるクラス丸ごと異世界に転移するパターンなのだけど、適度にテンプレを意識しながら意図的に外してくるのがおもしろい。加えて、話の流れもスムーズで、スピーディに読ませるのもいいねっ!!

クラス丸ごと異世界に転移するパターンだと、追放されてから覚醒→集団生活してるクラスのみんなに復讐、というのがテンプレなのだけど、この作品は、主人公のスキルが「分身」で、クラスのみんなと集団生活しつつ、隠れて冒険者もはじめるという、クラスのごたごたと冒険者生活の美味しいところを同時に楽しめるのがポイント。そのせいでイベントは盛りだくさんになるのだけど、物語の流れはスムーズで違和感なく読ませる。いやぁ、ダンジョンとクラスのラスボス攻略の両方を、一冊に詰め込んでしまうとか、贅沢すぎるだろっ!!

まあ、クラスのみんなとの訓練とダンジョン攻略の二重生活といっても、クラスのみんなとの訓練はほとんど描かれてなくて描写が足りないし、「目立ちたくない」という主人公の生活もあまり物語に反映されてなくて、せっかくの差別化ポイントを生かしきれてないというのは残念。ぶっちゃけ、書き慣れてない素人っぽさを感じる部分が多々あって、読んでて、すごくもったいないと感じるところが多いのよ。それでも、物語としては魅力的で面白く、今後の展開も楽しみですっ!!

[ 影の使い手 ]


2018 6 25

ニューズウィーク日本版で、アメリカでのヤングアダルトとライトノベルに関して書かれた記事が話題になっています。

まずはじめに、「ヤングアダルト」と「ライトノベル」の定義を整理するとおおよそ以下の通り。似たようなジャンルを指す言葉です。

  • ヤングアダルト: 高校生を中心とした若者向けの本(小説以外も含む)
  • ライトノベル: 高校生を中心とした若者向けのエンターテイメント小説

ところが、アメリカと日本では、この若者向けのジャンルに、かなり差があるというのが上のニューズウィーク日本版の記事。これらの記事から、特にアメリカのヤングアダルトに特徴的な要素を抜き出すと、以下のような感じでしょうか。

  • 「アメリカ図書館協会」の影響が強い
  • 1冊のページ数が多い。つまり、若者向けに単価を下げる意識が薄い
  • 啓蒙的な内容のものが多く、純粋なエンターテイメントになっていない

つまり、アメリカのヤングアダルトって、「若者が読みたい本」ではなく「大人が読ませたい本」で、若者が直接購入することは想定せず、図書館が購入することを前提してるように見えます。まるで、日本の児童書のように、より低年齢層向けの本みたいじゃないですか。

ちなみに、「アメリカではライトノベルは若者向けとはみなされない」とのことですが、アメリカのヤングアダルトが日本に上陸した場合も同じです。基本的に、海外文学のレーベルから出版されることが多く、日本の若者向けの本とは区別されます。

エンターテイメントに特化して成長した日本の若者向けの小説

日本で、高校生を中心とした若者向けの小説は、1970年代に登場し、1980年代に今のライトノベルのようなスタイルになったことが知られています。主な特徴は、

  • 若者でも買いやすい値段の文庫サイズ
  • 若者が共感しやすい若手作家の積極的な登用
  • 若者が好む漫画やゲーム的な要素の導入

と、つまり、「若者に買ってもらうこと」に特化しています。アメリカのように、図書館員への配慮はかけらもありません。

もともと日本の若者向けの小説は、「子供向けでは物足りないが、おじさんおばさん向けの本はつまらない」という層に向けて書かれたものです。若手作家が自分たちの好きに書く、というのがまず前提にあり、頭の固い大人に理解できないのは当たり前で、PTAが眉を顰める表現も上等。大人の顔色を見て「美少女」の表紙を採用しないぐらいなら、そもそも漫画をイメージさせるような装丁にするわけないだろ、って話です。

むしろアメリカでは、高校生になっても大人の選んだ本を読んでいるということで、そんな本で満足してるの? と、もうビックリです。

日本におけるライトノベルとヤングアダルトの関係

日本では、かつてライトノベルをヤングアダルトと呼んでいましたが、2018年現在のライトノベルとヤングアダルトの関係は多少複雑でわかりづらいです。

簡単にまとめると、

  • 大人向けのライトノベルも登場しており、「若者向け」とは言い切れない
  • ライトノベルとは異なるジャンルを YA(ヤングアダルト) と呼ぶ場合もある

となります。だいたい、読者の年齢層が高くなったせいです。

「ライトノベル」という言葉は、パソコン通信のニフティサーブで名づけられたことが知られています。若者向けの小説ジャンルを呼ぶ際に、「ヤングアダルトではヤングのためのアダルト小説と誤解されてしまう」とわざわざ新しい言葉を作ったとのこと。ただ、しばらくの間は、あくまでニフティサーブローカルの方言でした。

広く「ライトノベル」と呼ばれるようになったのは、2000年代初頭。読者の年齢が上がるにつれて、「若い大人」を意味するヤングアダルトに対する違和感が提示されるようになり、「ライトノベル」と呼ぶ人が増えていきました。やがて、新聞や雑誌でも「ライトノベル」という呼び方が採用されたことによって、広く一般化した、という流れです。

「ライトノベル」の呼び方が定着すると、やがて、20代以上を対象としたライトノベルも登場してきます。一方、児童書とライトノベルの中間的なレーベルの中から、“YA”を強調するレーベルが出てきます。ヤングのためのアダルト小説と誤解されてしまうため、略語の“YA”を前面に出して、まるで新ジャンルの小説のようにっ!! そのため、日本でYA(ヤングアダルト)といった場合、ライトノベルを含む若者向けの本の総称を指す場合と、ライトノベルを除いた若者向けの本の一部ジャンルを指す場合があります。めんどくさい。

[ 日本のライトノベルとアメリカのヤングアダルトの違い ]