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KADOKAWA 角川文庫
ふたりの距離の概算 /米澤穂信 -
『いまさら翼といわれても』が文庫化したので買ったのですが、その前作の『ふたりの距離の概算』も読んでなかったことに気づいたので購入。……買い損ねてたから言うんだけど、ちゃんとタイトルに「古典部シリーズ」入れて、巻数も記載して、もっとわかりやすく売ってほしいよなぁ。あと、ラノベレーベルじゃないと見逃がしやすくなるので、「角川スニーカー文庫」からも出してほしい、イラストなくてもかまわないので。
まあ、それはともかく、この『ふたりの距離の概算』は、古典部に仮入部したものの急に入部を取り止めた新入生・大日向友子の謎を軸に、この数か月の日常を振り返る連作短編形式のミステリー。マラソン大会中に追い抜いていく古典部の仲間と一言二言言葉を交わしつつ過去の出来事を振り返るという構成なのだけど、この構成とタイトルが秀逸。タイトルの『ふたりの距離の概算』というのは、マラソン大会中の物理的な距離と、すれ違ってしまった心の距離を二つの意味を重ねてるわけよ。マラソンを走りながら謎を解くとか、明らかにおかしいのだけど(笑)、このアイデアは愉快で楽しいよね。
古典部の新作を読んだのは10年ぶりだったのだけど(^^;、その時間を感じさせないくらいに自然にキャラが思い浮かんで、いまさらだけど、すげーキャラが立ってるのんな。各キャラに明確なモットーを持たせているのは、露骨な感じもするけど、キャラを立てる上では非常に有用だわ。……しかし、千反田は、もっと萌え成分が多めだったと思ってたのだけど、いや、そもそも千反田らしく活躍するシーンが少なくなくない?
[ 2019.06.25 ]