好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

小学館 ガガガ文庫
プロペラオペラ5 /犬村小六

昔、ノベルスでたくさん出てた架空戦記が好きだった頃の感覚を思い出しながら読んでたんだけど、アメリカが工業力にものを言わせて超兵器を出して来たら、出てきたとたん鹵獲されて日本のものになるのがパターンで、しかもそれが空を飛ぶなら、もう、アメリカ本土強襲のお約束のフラグみたいなもんだったんだけど、あれ? あれれ?

軍事だけでなく経済でも、戦時国債ではなくわざわざMMTを持ち出したのも伏線で、クロトがなにか手を打っていてアメリカ経済が崩壊して戦争継続が不可能になる、みたいな展開になるかと思ったらそういうこともなくて、いやいや、ちょっと待て、カイルを叩きのめすんじゃなかったんかいっ、クロトがっ、自分でっ。お前が叩きのめしたのは、カイルではなくキリングだっ!!

通信室のやり取りからあの演説を経て、東京決戦の決着までの一連の展開は、もう、これ以上なく素晴らしいのだけど、でも、クロトさん、ちゃんとカイル失脚の道筋をつけてから退場しようよ。振り返ると、クロトとカイルの因縁の決着はあの通信室ですでに終わっていて、あの素晴らしい東京決戦の見せ場の数々は、あくまで決着がついたあとの物語なんだよなぁ。そう思うと、めちゃくちゃ素晴らしいだけに、素晴らしいだけに、やっぱりちょっともったいないなぁ。

[ 2021.09.11 ]