覇剣の皇姫アルティーナ


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナ /むらさきゆきや

めちゃくちゃおもしろいっっっ!! 厄介払いで辺境に飛ばされた皇姫と左遷された冴えない軍師のファンタジー戦記。そういう設定からしてありがちな話なのだけど、わりとシビアな状況にもかかわらず、あくまでキャラクターメインのライトなノリがいいねぇ。愉快なキャラたちのやりとりが楽しい楽しい。

好きなライトノベルを投票しよう!! 2013年上期」で、わりと票を集めていたので手を出してみました。たまたま幕僚の末席にいたばかりに、敗戦の責任を取らされ辺境に左遷された主人公・レジスは、厄介払いで辺境軍の司令に任じられていた皇姫・アルティーナと出会う。という感じで、どこかで見たような展開が目白押しのベタな物語なのだけど、上手く、ライトノベルらしい軽いキャラクター小説に仕立ててる印象。皇姫アルティーナやメイドのクラリスをはじめとしたヒロインたちと、童貞気質なレジスのやり取りが楽しい楽しい。これはいいキャラクター小説。一方、ストーリーはちょっとご都合主義で、ファンタジー的な世界観の作り込みもちょっと薄い部分が強いかな。まあ、そこも含めて、ライトノベルらしいファンタジー戦記として出来がいい感じ。とにかく面白いっ!!

しかし、まだまだ物語はこれからで、途中下車しにくいような話なのだけど、どんくらいの長編を目指してるのかしら(^^;。えっと、アルティーナが皇帝になるまでは、先長そうだぞ~。

[ 2013.08.28 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナII /むらさきゆきや

レジスって、「冴えないけれど実は……」というタイプの主人公かと思ったら、運動が苦手なだけで、ふつうに優秀な軍師なのんな。その上、人当たりよく優しくて、モテモテなハーレム展開になるのも当然、というか、それで何故、辺境に飛ばされた(笑)。いや、もうちょっと読書狂の変人的なキャラ立てをする予定だったんだと思うんだけど、忙しい上に真面目な性格なので、文官としては、完璧超人にしかみえない(^^;。

というわけで、この二巻は、辺境軍の実権を掌握したアルティーナに対し、第二皇子ラトレイユのいる軍中央は難攻不落のヴォルクス要塞の攻略を命じる……。と、確かにレジスは優秀なのだけど、紙ぺら一枚で、中央の言いなりにならざるをえない力関係で、これからいったい、どう対抗していくんだ? や、正直、辺境軍の司令って、もっと権力持っていると思ってたよ。うーん、そもそも、世界観はかなり大雑把なファンタジー世界でしかなく、国家感や政治制度の設定がいまいち弱そうなので、これからの権力争いの展開が、ちょっと不安だなー。そもそも、次回、帝都で、レジスのハーレム展開はどうなるんだ??

[ 2013.09.02 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナIII /むらさきゆきや

帝都に召喚されたアルティーナとレジスを待っていたのは、宮廷での政治的駆け引きだった……。や、ラノベで政治的駆け引きメインに描いて、どーすんのよ?と読む前は思っていたのだけど、予想を超えておもしろかったっ!! 作中でもチェスの比喩があったけれど、ゲームのように一手先を読みあうような展開が、すっごくおもしろかったー。

レジスの打ち手はほんと空恐ろしいな。好意にどんかんなのは相変わらずだけど。しかし、命のやり取りをしている割に、皇族たち、兄妹でふつーに仲いいのんな。ふつーに、兄妹喧嘩してるようにしか見えない(笑)。……レジス大勝利みたいな展開だったけれど、ラトレイユは変わらず総軍司令なわけで、敵対することが明らかになった今、このあと、どーするんでしょ(^^;。

[ 2013.10.20 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナIV /むらさきゆきや

違う話になってる(笑)。これはこれで面白いけど、番外編とか別シリーズでやるべき話だよなぁ(^^;。

侵攻してきた隣国ハイブリタニアに留学していた第三皇子バスティアンは……。というわけで、いきなり主人公が変更になってるんですけどっ!! 知力で戦う軍師から、筋肉バカに変更って、どういうことだよ。さすがに、テイスト変わりすぎだろっ!!

まあ、失敗する未来が提示された中、敵に囲まれた状況でのたった二人の敵陣突破といった展開は面白かった。てか、筋肉バカがヒーロー力強すぎるんですけど、パワーバランスいいのか、これで。いやまあ、強引な展開は、むしろ好きだけどなー。でも、本編でやらなくてもいいと思うんだけど。

しかし、バスティアンのイラストは、どう見えもイメージ違うのだけど、なんとかならなかったんだろうか。や、筋肉バカなハズなのに、どう見ての線の細い眼鏡少年なんですけど……。

[ 2013.11.23 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナV /むらさきゆきや

バスティアンはどうしたっっっ!! や、何事もなくレジスとアルティーナの話に戻ってきてるのだけど、これなら、主人公の違う4巻はナンバリングを外すなり明確に番外編として欲しかったなぁ。ストーリー構成的にちょっと不満。

それはともかく、いよいよハイブリタニアとの全面戦争。レジスとアルティーナ、二人のいるバイルシュミット辺境連隊は、まずは支援的な立ち位置での小手調べ、レジスと敵参謀オズワルドの顔合わせという内容だったけれど、いやぁ、定石とはいえ、策が受け入れられず劣勢に陥る帝国軍の中で、ぎりぎりで立て直すレジスが面白い。ラストのデュカースとのやりとりが、いかにもレジスらしくて、楽しい楽しい。や、皇位継承の有力候補のわりに、いまいち軍隊内での発言力が弱いアルティーナの立ち位置には、微妙にもやもやするけど。今回の活躍で、次は、レジスとアルティーナが、帝国の主力を張ることになうのかしら? レジスがいうとおりに単純に進んだら、それはそれであれだけど、楽しみすぎるっ!!

[ 2014.03.10 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナVI /むらさきゆきや

はじめての海戦。レジスが海戦でも強いのはさすがだけど、それよりも、移動シーンで見せたような事前の何気ない準備が凄いよね。一応、進んだ技術を持つ敵国・ハイブリニア王国の侵攻により帝国滅亡の危機、という展開なのだけど、あまりにレジスの作戦が順調すぎるので、まったく危機感が感じられないのがにんとも。まあ実際、海戦もあっさりこなしてしまうし、レジスもアルティーナも、あまり危機感を抱いてないのかもしれないけど(^^;。

それにしても気になるのは、皇帝の後継争いの敵であるアレンの行く末か。アレンに対して、なんだか凄い不吉なフラグを立ててるのだけど、うわぁ、この物語はどっちに進むんだ!? このままだと、あっけなくアルティーナは皇帝になっちゃう気がするのだけど、皇帝になるのがゴールではなく、ハイブリニア王国との戦いが物語のメインになるのかしらん。まあ、ハイブリニア王国にも、帝国側でレジスの足を引っ張るような事件でも起きなければ、なんだか淡々と勝利してしまいそうだけどなー。

[ 2014.07.06 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナVII /むらさきゆきや

相変わらず、レジスが安定して強すぎる件。多少の危機的状況も、作者の計算づくなところがさすがに見えすぎてしまっていて、ちょっと順調すぎる気も(^^;。……ハイブリニア王国の進軍も山を越えて、なんだか大きな波風もなく退けられそうな感じに見えるのだけど、ストーリー的には、ハイブリニア王国との戦いよりも皇帝崩御がらみの展開が軸になっていくのかしらん? アルティーナのライバルであるラトレイユが次期皇帝に即位しても、いかにも先行き短そうなので、結局、将来的にアルティーナが皇帝になる以外の展開しかみえないのが、にんとも。あまりに順調すぎて、ストーリーに緊迫感がないんだよなー。

[ 2014.11.12 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナ 小綺譚 /むらさきゆきや

前日譚とバスティアンとエリーゼの話の続きからなる番外編。って、バスティアンの話を番外編にするなら、4巻も番外編にすべきだったんじゃ(^^;。

前日譚のレジスとアルティーナは、前日譚なのにいつも通りだ(笑)。フェリシアの話は、初々しくて楽しい。楽しいだけに、今後のどうなるか不安だ。国における立ち位置的に、二人はかなり微妙なんだよなー。そして、バスティアンとエリーゼは、えっと、これからいよいよ本編にも絡んできそうな展開なのに、なんでここで番外編(^^;。本編7巻で、ほぼハイブリタニアの負けが決まったので、この二人をどう絡ませていくか、いまいち見えないのだけど。なんか、アルティーナが皇帝になるより、エリーゼが女王になるほうが、わりと障害あるような。

[ 2014.11.16 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナVIII /むらさきゆきや

アルティーナの、恋に気づいていない初心な恋心がたまらないっすな。今回は、レジスが王都に召還されて浮気していく展開なのだけど<をい、浮気を知った姫様の反応が、今から楽しみで楽しみでしかたないですよっ!!

前回の急な皇帝崩御で、まだ支持を固められていないアルティーナは、目指していた皇帝即位がほぼ不可能に……、という展開。落ち込むアルティーナと、それを励ますレジスのやり取りが、たまらないですなっ。ただ、新皇帝が即位するとそれまでの皇帝候補は皇位継承権を失う、という設定はさすがに無理があると思うぞ(^^;。まだラトレイユには跡継ぎがいないのだけど、もし、ラトレイユが死んでしまったら、ラトレイユの弟妹が皇帝にならずに、誰が皇帝になるの?という話ですよ。その設定をやるんだったら、長子相続を基本とするのでなく、星界シリーズのように複数の王家が競い合っているとか、もうちょっと相続の設定を作りこんでいないとツライ。落ち込むアルティーナは素晴らしいのだけど、かなり無理があるよねー。

それはともかく、レジスの浮気がどれだけ続くか、アルティーナの反応を想像すると楽しみで仕方ないのだけど、それに加えて、バスティアンとエリーゼも、いよいよストーリーに絡んできそうな展開なので、ほんと、続きが楽しみすぎる。あとは、侵攻を止められてしまったハイブリタニアは、どう逆襲してくるのかしら。ほんと楽しみすぎるっ!!

[ 2015.03.12 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナIX /むらさきゆきや

進行遅いなー。主人公サイドが有利な状況なので、さっさとストーリーを進めてほしいのだけど、レジス、アルティーナ、バスティアンの三方面での同時進行なので、どうにも進むのが遅い。……そもそもやっぱり、ハイブリタニア軍との戦いが、消化プレイみたいになってしまっているのが辛いよなー。オズワルドとの読み合いはゾクゾクするけど、追い詰められているのは敵のハイブリタニア側なので緊張感もなく、いまいち読んでて面白くない。周辺国がさっさと攻め込んでくるとか、もうちょっと、主人公ピンチの状況が欲しいよねー。

いやー、確かに敵軍師オズワルドとの読み合いは凄いのだけど、ただ、大局的にベルガリア有利な情勢なので、レジスでなくとも、結局、正攻法に力押しで攻めれば勝てそうなのはちょっとなー。ハイブリタニア軍に逆襲するだけのなにかがあるかと思っていたのだけど、マーガレット王女は享楽的なだけで勝利の確信があるわけでもなさそうだしな。そのマーガレット王女に、その場その場の奇策で乗り切りながらもいよいよ大ピンチなオズワルド率いるハイブリタニア軍というのは、ふつー、オズワルドのほうが主人公的な立ち位置だよね(笑)。

バスティアン側は、エリーゼを絡めてベルガリアとハイブリタニアの戦いに割って入ってくるのかと思ったら、こちらもなんだか悠長な展開で、ちょっと期待外れ。やっぱり、もうちょっと展開が動かないと面白くないよねー。

[ 2015.06.28 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナX /むらさきゆきや

うわぁ、ここに来てレジスの采配が神がかってて震える。相変わらず、自己評価が低かったり、ラトレイユへの対応は迂闊で抜けまくっいてレジスらしいのだけど、今まで以上に、天才に磨きがかかってる風な描写が凄い。レジス無双な展開は読んでて楽しいのだけど、おおう、ラストでそういう展開になりますかー。……えっと、アルティーナは出番がないし、もはやレジスの方が重要人物になりつつあるのに、これでなんで、タイトルはレジスでなくアルティーナなの?<をい

そゆわけで、軍人らしくない読書狂のレジスが軍師として活躍するシリーズも二桁の大台。いよいよ、ハイブリタニア編も大詰めなんだけど、うーん、エリーゼ含め、もうちょっといろいろなイベントがあると思っていたので、想像よりもあっけない決着はビックリした。むしろ、ラトレイユとの対決の序章という感じかしらん。

しかし、王位継承権の設定には無理があるし、アルティーナの即位はラトレイユの次でいいんじぇね?と思っていたのだけど、思ってた以上に対立を煽る展開だな。そうすると、マジにラトレイユを廃することになってくと思うのだけど、さすがに条件設定キツすぎだろっ!! さっそく幸運が転がり込んでる風ではあるけど、ここから逆転、ほんとにできるの?

[ 2015.11.29 ]


KADOKAWA ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナXI /むらさきゆきや

ストーリーは面白いのだけど、やっぱ、即位に関する設定とラトレイユの行動が納得できないんだよなー。そこがどうにも気になって仕方ない。

いや、ラトレイユが即位してもすぐに死にそうなので、ラトレイユが即位するとアルティーナが皇位継承権を失う設定にしないと、物語の都合上、盛り上がらないのはわかるのだけど、でも、それって、ラトレイユが即位したら皇帝になれる人が誰もいなくなって、そのまま帝国が危機的状況に陥るってことなんだよね。しかも、ラトレイユは政治信条が違うだけで優秀という設定なので、なんでここで皇帝位を取りに行くんだ? 仮に、皇帝位を取りに行くことを許容したとしても、死んだあとに国の危機的な状況を救えそうな人材を、今の状況でなんで殺そうとするんだ? って話ですよ。正直、ありえない。ラトレイユを死にそうにしちゃったのは、失敗だったんじゃないかなー。

それはともかく、今回は、生命を狙われたレジスが、なんやかんやで楽しそうにしてる一方、レジス戦死の連絡を受けたアルティーナが挙兵する展開。生命を狙われているのにレジスのアレのせいで、いつも以上に愉快な状況になっていて、レジス一行はのんきすぎるだろ(笑)。レジス周りの展開はいつも通りで楽しいのだけど、どうせなら、もうちょっとアルティーナ周りを描いてほしかったところ。まあ、そこら辺は次回に期待なのかしらん。

[ 2016.10.03 ]


KADOKAWA ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナXII /むらさきゆきや

後ろ1/3が外伝かっ!! や、前巻では、いよいよアルティーナが挙兵して内戦突入か!?という展開だったのだけど、それもうやむやになった感が強く、ページ数も展開自体も、どうにも物足りなさが否めない。いままでラトレイユとアルティーナの即位レースを煽っていただけに、うーん、その展開はちょっとなー。

まあ、クラリスさんとの再会はよかった。

外伝のほうはジェローム主役の話なのだけど、結局、レジス無双って話だよな。<をい

[ 2017.05.04 ]


KADOKAWA ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナXIII /むらさきゆきや

皇帝継承レースに負け帝国元帥となったアルティーナは南方戦線へと……。皇帝についたラトレイユの覇権路線のため、平和路線のアルティーナとレジスも他国との侵略戦争へ走る展開。この巻は、その侵略戦争の前段として、南方の部隊の立て直しという話。

まあ、他国に侵攻してからが本番だよねー。平和路線のアルティーナが、実際に侵略できるのか? 侵略の悲劇を目にして耐えられるのか? みたいな部分が強調されてるのだけど、この作品で、どこまで勝者側の略奪等の残酷さを描けるんだろうか、って、描けないような気がするのだけど(^^;。よほど戦争の悲惨さを描かないと、アルティーナの路線が正しくラトレイユの路線が間違っているとは描けないと思うのだけど、さて、どうするんだろうか。

[ 2018.03.05 ]


KADOKAWA ファミ通文庫
覇剣の皇姫アルティーナXIV /むらさきゆきや

皇帝継承レースに負けたアルティーナは、ラトレイユに命じられてヒスパーニア帝国へ侵攻する……。と、主義に反して南方侵略へ加担することになったアルティーナとレジスなのだけど、結局、レジス無双という話。アルティーナの平和主義へのこだわりが軽いようにしか思えないのだけど、それだったら、このまま覇権主義のラトレイユの元で元帥として活躍していっても、ぜんぜん困らない気が……。

ヒスパーニア帝国侵略に関しては、敵国にも天才軍師がいていよいよその軍師が指揮することになるか?という展開だけど、うーん、どう考えても今回のラストが最大の見せ場っぽくて、結局、レジスが無双する未来しか想像できないのが、にんとも。

[ 2018.09.30 ]