好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

KADOKAWA 角川文庫
いまさら翼といわれても /米澤穂信

子供のころ、「学校でも大っぴらに漫画を読めるクラブを作ろうぜ」と友人たちと学校へ申請したら、活動内容がいつの間にか「漫画を描くこと」になってたことを思い出しました。

それはともかく、この『いまさら翼といわれても』は、古典部シリーズの最新刊。どこかの雑誌でそれぞれ単発で書かれた短編をまとめた短編集ということかしら? 奉太郎と里志が生徒会長選挙の謎に迫る「箱の中の欠落」、伊原が中学の卒業制作の真相を追う「鏡には映らない」、奉太郎が中学時代の先生の発言の真意を確認する「連峰は晴れているか」、伊原の漫研でのいざこざを描いた「わたしたちの伝説の一冊」、奉太郎が省エネなモットーを持つに至った過去を語る「長い休日」、そして、表題、千反田の内面に迫る「いまさら翼といわれても」。

いやぁ、「長い休日」「いまさら翼といわれても」が、シリーズの核心に迫るような、今後のターニングポイントになりそうな内容なのだけど、そもそも古典部シリーズの続きはいつだ(^^;。そして、収録されている短編のどれも、千反田の活躍があんまり描かれてなくて、そこは残念。もっと千反田を書け、千反田をっ!! まあ、千反田的にも「いまさら翼といわれても」のラストは素晴らしかったけれど、ただ、むしろ今後の展開が気になるって内容だしなぁ。もっとどんどん続きが出ないことには……。

[ 2019.06.26 ]