エイルン・ラストコード


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エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ /東龍乃助

最高傑作級。悲愴的な世界観で主人公が全てをかけてヒロインを守るというロボットもの。「アニメのキャラが現実に」という話で、こういう設定だとふつーコミカルな雰囲気にすると思うのだけど、これが、めちゃくちゃシリアス。シリアスな世界観に大人気アニメがどーこーという設定が出てきて、はじめは不安しかなかったのだけど、でも、この設定をもの凄く上手く料理をしていて、この着想は素晴らしいや。傑作間違いなし。

そゆわけで、人間を捕食する謎の巨大生物マルス。そんな怪物に唯一対抗できる兵器の生贄にされた少女の前に“彼”が現れた……。という感じの内容で、序盤は捕食シーン入りまくりで、『進撃の巨人』の影響だよね(^^;。や、自衛隊が存在するような近未来が舞台なんだけど。そんな人間がゴミのように怪物に食われる世界の中で、さらに、怪物の好物である中高生を中心とした生贄部隊といった悪意の塊のような設定が、全くえげつない。そんな悲愴感あふれまくりな世界に、光り輝く希望としてアニメキャラが出現するとか、マジにどういうストーリー展開だよっ!! そのアニメキャラのエイルン・バザット、氷室夏樹も、悩みに悩む人間味あふれるキャラなので、いい感じに重くシリアスな展開になっているのんな。それでいて、きちんとロボットものらしい熱い展開とカタルシスも用意されていて、ホント、素晴らしい素晴らしい。

しかし、アニメ世界のスーパーロボットは現実世界ではさすがに強すぎなんだけど、これ、今後どうストーリーを転がしていくつもりなんだろ? あと、戦闘シーンが漫画なのは新しい試みだと思うのだけど、表現方法としてちょっと微妙。いきなりそこで漫画にするのではなく、もっと戦闘以外の部分もロボット多目に挿絵入れていく感じじゃないと違和感あるよね。てか、はじめからメディア展開の企画として動いてるみたいなのだけど、それなら、さっさとアニメ化にでもすればいいんじゃないですかね?

[ 2015.02.16 ]


メディアファクトリー MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 2 /東龍乃助

うわぁ、やっぱりここ数年の新作の中では、ダントツにおもしろいっ!! 謎の巨大生物の来襲に少年少女が生命を散らしながら戦う世界。その世界に、アニメから抜け出してきた主人公が救世主のように活躍する展開と。戦争に明け暮れるアニメ世界から平和な世界に来て文化の違いにドタバタするのは、なるほど、『フルメタ』をリスペクトしすぎだろ(笑)。いや、高校を舞台にはしてるけれど、本来、この世界も、ぜんぜん平和な世界じゃないハズなんだけど。まともに説明できてない上に、穴だらけで矛盾だらけの設定のようにしか見えないのだけど、勢いで強引に納得させるスタンス。好きだわ~。ところどころにコミカルなシーンをはさみつつ、シリアスながらも勢いのある熱い展開が、爽快すぎて素晴らしいっ!! そして、【テンナンバー】とか中二心をくすぐるキーワードが出てきて、なにそれ、楽しみすぎるんですけどっ!! マジ、たまらんわ~~。

ただ、物語を読んでも設定が意味不明すぎるので、文章で説明できないなら、巻末とかに設定集とか付けてくれないものかしらん。脳内補完しようにも、補完する材料もなくて、読んでて引っかかりまくるのよ。せっかくこれだけおもしろいのに、もったいないな。

あと、戦闘シーンがいきなり漫画になるのは、やっぱ違和感があるなぁ。それをするなら、もっと、通常シーンから挿絵を多用しろよと。でも、作者の力量を見てると、戦闘シーンが漫画じゃなかったら致命的なことになる感じもしていて、編集の英断ではないか?と思わなくもない今日この頃。ぶっちゃけ、この作者って、プロどころかアマチュアと比べても、かなり文章下手だよね。や、単純に意味がとりにくい上に、必要な情報がぜんぜん書けてない。そのうえ、ふりがなを振って読みを変える手法を多用していてリーダビリティが最悪。その読みにくい文章を補ってあまりあるほど面白いんだけど、でも、もうちょっと成長してほしいなぁ。

[ 2015.05.25 ]


メディアファクトリー MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 3 /東龍乃助

やっぱ、王道素晴らしいわ。「俺TUEEEEE」を出し惜しみすることなく、期待通りのタイミングで、期待通りに敵を圧倒する展開。熱いっ!! めちゃくちゃ熱いっっっ!!

仕組まれた遠征中の襲撃で、全治三か月の重傷を負う夏樹。夏樹不在で焦る紫貴は……。と、夏樹が重症を負うくだりは、ちょっと無理あるように思えるのだけど、そのあとの展開は、非常に王道的な展開で素晴らしい。いや、こうなればと期待するタイミングで、きちんとその望む展開を入れてきてくれるんですよ。それが、めちゃ心地よすぎるっ!! もちろん、ロボットアニメらしい熱い展開もたまらないわっ!!

物語は、セレンをめぐり、反則的に強い夏樹と直接対決するわけでなく、政治的な絡め手でくるのは、なかなか上手いね。ただ、大国の駆け引きを絡めた展開なので、もう少し、そこら辺の設定は、わかりやすく書いてほしいような気もするんですけど。今後は、さらに、夏樹と同じ世界の強敵が召喚される展開なのかしらん? 夏樹だけでなく、セレンとデストブルムの戦闘力も凶悪になりそうな感じで、今後もマジ楽しみだわ。

[ 2015.11.25 ]


メディアファクトリー MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 4 /東龍乃助

やっぱ、すげーおもしろいわっ!! アニメの中のヒーロー&ロボットが、巨大生物が人類を襲う世界に現実化して戦うシリーズ第四弾。セレンが絶望から救われたことで、この巻から、全体的に作品の雰囲気が明るくコミカルになって、作品の方向性を変えてきた感じがするのだけど、それでも、熱いロボットの肉弾戦は相変わらずで、やっぱ、おもしろい。今回は、緑を失ったことで機兵部を辞め氷室義塾に不満を持っている大和が裏の主人公になってる構成なのだけど、この大和の扱いがいい味を出してる。ステレオタイプ的なキャラを思わせつつ、そのステレオタイプ的な展開を上手くコントロールしながら、それでいて、きちんとステレオタイプで終わらないところが上手いわ。素晴らしい。

物語もターニングポイントみたいな回なのだけど、巨大生物マルスの影が薄い件。今後は、他国との戦争、ロボット同士の戦いがメインになるのかしらん? 将来的には、夏樹と同じアニメ世界の登場人物が現れる展開になると思うのだけど、どちらにしろ、楽しみだー。

しかし、紫貴が酷いビッチになってるような気がするのだけど、それでいいのか(笑)。

[ 2016.06.02 ]


KADOKAWA MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 5 /東龍乃助

期待のロボットラノベ第五弾。幸せな学園生活の描写といい崩壊へのフラグ満載の前半から、うわぁ~、きたきた、予定調和に、一気に話を動かしてきたぁぁぁぁぁっっっ!! いや、大和の行動をはじめ、わりと強引で無理筋な展開も目立つのだけど、その強引な展開も含めて、後半の想像を超えた話の展開は素晴らしいわ。特に終盤の展開が凄いっ!!

や、実際、「そのまま革命しちゃっていいんじゃね?」と思うぐらいに無敵すぎるエルフィーナをみせてからのあの展開で、前半の幸せな場面との対比も含め、ラストからエピローグへの落とし方が楽しすぎる。まあ、前半の見せ方から、もうこれ以上なく王道的な展開なのだけど、だからこそ、それがハマると楽しいわ。でも、ここで第一部完、そのまま終了or路線変更のケースでもよくある展開なので、次巻を読まないといろいろ安心できない。不安すぎる。一応、以前から伏線をはってた展開だし、コミカライズも決まってるし、いきなり次巻、別のテイストの話になったりしないですよね?(^^;

[ 2016.12.07 ]


KADOKAWA MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 6 /東龍乃助

初っ端から、紫貴の人体実験シーンで衝撃的すぎる……。主人公・エイレンの死亡、氷室義塾の崩壊で幕を閉じた第一部。そのラストで、テンナンバー・規格外十番が各国に譲渡されたような記述があったけれど、まさか、こういう扱いかよっっっ!! 氷室義塾の元生徒たちの扱いといい、ヘキサの真実といい、ジン側に感情移入せざるを得ないな。<をい

とにかく国連の糞っぷりが酷いのだけど、それはともかく、地に落ちバラバラになった仲間たちが一人づつ再び立ち上がっていく展開。熱いっ!! 泣けるっ!! や、水久那かよっ!! という部分も含め、この熱い展開が素晴らしいっっっ!!!! マジこの作品は素晴らしすぎるわ。……しかし、「星の寿命が近づいている」と時間がないようなことを言って登場してきたジンさんは、1年間あんまり仕事してないっぽいんですけど、なんでわざわざエイレン殺したんすかね?

[ 2017.05.06 ]


KADOKAWA MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7 /東龍乃助

「もしも君が泣かされていたら。世界中のどこに居たって駆けつける」

うわあぁぁぁぁぁ、規格外十番がそろい踏み。熱い熱いぜっっっ!! 人類の存亡をかけた反抗作戦「オペレーション・リミットブレイク」。マリス本拠地への総攻撃は、しかし、絶対種「キング」の存在によって国連軍は絶体絶命。孤独に戦うセレンにも危機が迫っていた……。と、むちゃくちゃ熱い、手に汗握る展開っ!! 人類の切り札ネイバーの多機投入に、それらの力を凌駕する敵のボス「キング」の登場。人類50億人の未来を決める最終決戦、熱い熱いっ!! そんな中、未だにクズい大国代表。というか、ジン登場によって、国連も崩壊しつつある中、なんで反抗作戦を進めたり、国際的な影響力を維持してるんだよ(笑)。

とにかく熱くて素晴らしいのだけど、ただ、夏樹ことエイルン亡き後の展開は、ジンの行動をはじめとして、整合性が取れてなくてめちゃくちゃだよね(^^;。理屈を超えた熱い展開は素晴らしいのだけど、そうは言ったって、このストーリー展開は意味不明すぎるだろっ!!

[ 2017.10.25 ]


KADOKAWA MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 8 /東龍乃助

ゴミ。いや、ジン登場以降、ストーリーは酷いものの熱い展開でごまかしてたのだけど、それが、とうとう誤魔化しきれなくなった印象。特に今回は、わかりやすいフラグを立てて予想通りだけど期待外れとか酷いだろ。ストーリーが酷いのは仕方ないとして、もう少し盛り上げる展開に仕立てられなかったものか……。

そういうわけで今回は、スイス領の秘密施設のある島を舞台に、ジン率いる「サクラノツルギ」との決戦。ここ数巻は、ジンとエイルンが協力すればあっという間に解決するのに、不自然に手を組まないようにして、そして、とうとう直接対決に至るというストーリー進行だったのだけど、その直接対決が、ここまで陳腐になるとはなー。「まあ、そうなるな」とか「うん、知ってた」みたいな展開が多すぎるのもちょっと……。

ほんと、ジンが登場してからの展開が、強引で不自然すぎてしょうがなかったのだけど、もうちょっとプロット段階で何とかならなかったものか……。エイルンがサクラノツルギに合流しない理由は説得力がない上に伏線にすらなってないし、ジンが真実を語らなかった理由もまったく合理性に欠けるんだよなぁ。作者の都合でそうしたんだろうけど、あまりに不自然で、しかもここまでチープな展開になるとは思わなかった……。そして、今までさんざん、ジンとサクラノツルギを強敵に描いておいて、どんだけ絶望的な戦いになるのかと思ったら、実際に戦った際の雑魚感はいったい。

そして今後の展開も、サクラノツルギですら雑魚だったのに、次の障害がマリスや国連っぽいのはどうするんですかね? いや、こいつら、サクラノツルギよりもさらに雑魚として描かれてきたんですが……。いやー、もうちょっと隠された謎があって、すげー秘密が出てくるもんかと思ってたんだけど、残り二巻かー。マジ、ここからどう盛り上げるんですかね?

[ 2018.04.28 ]


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エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 9 /東龍乃助

燃える、燃える、燃えるぅぅぅぅぅぅっっっ!!

ヘキサの真実が明らかになり人類との全面衝突が決定的になった今、それを回避するわずかな望みをかけて、エイルンは絶対種キングの撃破を目指す……。と、エイルンおよび各国ネイバーによるマリスとの最終決戦。これで燃えないわけがないっっっ!!

まあ、ゴミみたいなシナリオ展開は相変わらずだし、その支離滅裂な強引展開を伏線としてネタにしてるのは笑ったのだけど、でも、伏線だとしてもチープなのは変わらないよなー。10万回のやり直しとか、作者バカなんじゃないか?と思うんですが。やっぱり、ジン登場してからのシナリオの支離滅裂ぶりは酷いと思う。

そうはいっても、後半の燃える展開は素晴らしく、これで次巻は最終巻か。果たして、どういう結末を見せてくれるんだろうか?

[ 2018.11.26 ]


KADOKAWA MF文庫J
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 10 /東龍乃助

感動の最終巻。もう途中から、号泣しながら読んでました。「何故、エイルンはアニメキャラだったのか?」というストーリー最大の謎にもきちんと決着をさせて、文句なしの最終巻っっっ!! ……と言いたいところなのだけど、ちょっと作者の技量不足が目立つよなorz。

『エイルン・ラストコード』のシリーズって、途中からストーリー構成がぼろぼろなんですよね。明らかに作者の書きたいことがきちんと表現できてない。この最終巻も最初から想定していた展開のはずなのに、どうにも取って付けたような安っぽさが目立つのが非常に残念。単純によくあるお約束な展開なんだけど、必要なシーンがきちんとかけてなくて、唐突感が半端ないのよ。まあ、それでも、もうボロボロ泣けるんだけどさー。だからこそ、もうちょっと腕を磨いてから書いてほしかった。おしいなぁ。

[ 2019.08.05 ]