-
東京創元社 創元推理文庫
スペース /加納朋子 -
おおおおぅ、読了後、思わず前作の『ななつのこ』『魔法飛行』を読み直してしまいましたよっ!! 読んでいる間は、いきなり駒子には関係なさそうな長文の手紙が続いたりして、むしろ違和感を覚えながら読み進めていたのだけど、読み終えてみると、既刊を踏まえた、綺麗にストンと落ち着くところに落ち着くような内容。いやぁ、素晴らしい素晴らしい。
年末のデパートで神出鬼没のアルバイト青年の瀬尾と再会した駒子は、ある謎と想いを秘めた十数通の手紙を託す……。という感じで、『ななつのこ』『魔法飛行』に続く「駒子シリーズ」の第三弾。今回のメインは、短大に進学し一人暮らしはじめた姉から、実家の妹への手紙。読んでる最中は、「いきなりはじまった、駒子とも瀬尾とも関係なさそうなこの手紙はなんなんだ?」と思わずにいられない構成に、ひっかかりを感じながら読み進めたわけだけど、手紙後の駒子と瀬尾の会話と、さらに続く「バック・スペース」が、うわーうわー。なんという迂遠な、遠回りすぎるにもほどがある~~。いやぁ、第三者視点からの駒子周辺の描写も興味深く、非常に暖かい想いになる恋愛ストーリーでした。
[ 2009.05.16 ]