ライトノベルの起源とその後の流れ
ライトノベルの起源。「エロゲーが未入手で、ライトノベルが入手済みのもの - 雲上四季 」を読んで、ちと気になったので、ライトノベルの起源とその後の流れを私なりに纏めてみました。ライトノベルの起源というと、やっぱり、1970年代前半辺りに置くのが一般的かしらん。ちなみに私は、菊地秀行/夢枕獏から入った人なので、1970年代の空気は、実感として分かってません(^^;。『幻魔大戦』や『ダーティペア』辺りはアニメなら普通に見てたんだがなー。
- 1916年 吉屋信子の『花物語』が連載スタート
↑ コバルト文庫に連なる少女小説の起源といわれてるけど、さすがに、ライトノベルの起源とは言えないか(^^;
- 1971年 『超革命的中学生集団』発売 ← 『ライトノベル☆めった斬り!(大森望/三村美衣)』のいう起源
- 1973年 秋元文庫創刊 ← 早見裕司氏のいう起源 (早見裕司 ジュニアの系譜)
- 1975年 ソノラマ文庫創刊
- 1976年 集英社文庫・コバルトシリーズ(後のコバルト文庫)創刊
- 1977年 新井素子、氷室冴子デビュー ← コバルト文庫の方向性を確立
- 1977年 『クラッシャージョウ』スタート
- 1979年 『真幻魔大戦』スタート
- 1980年 『ダーティペア』スタート
- 1982年 『魔界都市』『キマイラ・吼』スタート ← ソノラマ文庫の方向性を確立
1970年代前半に中高生向けの作品が目立つようになり、そして、ジュニア向け文庫が創刊。70年代後半から80年代前半にかけて、それぞれの文庫のカラーが確立されていく、という流れ。あと、1970年前半に中高生向けの作品が目立つようになった背景には、SFの浸透・拡散の流れがあるようなので、それを考慮に入れると、もうちょっと起源は前と言ってもいいのかも。ジュニア小説に大きな影響を与えたというNHKの少年ドラマシリーズの放映開始が1972年。その第一話の原作『時をかける少女』の連載開始が1965年。『時をかける少女』は学習雑誌の中学三年コース/高一コースに連載されていたことからも、バリバリに中高生向け。
- 1982年 徳間アニメージュ文庫創刊
- 1982年 『銀河英雄伝説』スタート
- 1984年 『宇宙皇子』スタート
1980年代に入ると、アニメ化やノベライズで、アニメの影響も見えはじめる。当時はアニメブームの真っ只中。1977年『ヤマト劇場版』がヒット。そのヒットを受けて翌1978年に『アニメージュ』『アニメック』が創刊。その後、『ガンダム』が1979年、『マクロス』が1982年、『ボトムズ』が1983年と続く。しかし、1986年の『ガンダムZZ』の頃にはブームはほとんど下火になっていて、『アニメック』が1987年に休刊。1980年代後半になると、アニメは冬の時代と呼ばれ影響力は弱くなり、代わってゲームの影響が強くなる。
- 1984年 X文庫創刊
- 1987年 X文庫ティーンズハート創刊
コバルト文庫の成功を見て、講談社がティーンズハートを創刊。改行を多用する芸風を開発し、1990年代前半にかけて少女小説の一大ブームを形成する。
- 1988年 富士見ファンタジア文庫、角川スニーカー文庫創刊
- 1988年 『ロードス島戦記』スタート ← ファンタジーブームの火付け役
- 1988年 『聖エルザクルセイダーズ』スタート
- 1988年 『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』スタート
- 1988年 前田珠子、1989年 若木未生デビュー ← コバルト文庫がファンタジー路線へ
- 1989年 『無責任艦長タイラー』スタート
- 1990年 『スレイヤーズ!』スタート
『ロードス島戦記』『スレイヤーズ!』からはじまるファンタジーブームへの流れは、それまでのジュニア小説の流れよりも、むしろ、RPG関連の流れから来ていると見たほうが良さそう。少なくとも、富士見ファンタジア文庫の創刊の経緯は RPG辺りの流れを受けたもの。『ザナドゥ』が1985年、『ドラクエ』が1986年、『FF』『Ys』が1987年。また、1980年代中頃に流行ったゲームブックも影響を与えてると見るべきで、『火吹山の魔法使い』が1984年。先日の TRPGのまとめ も参考。
- 1990年 NIFTY 上で“ライトノベル”という言葉が生まれる (神北情報局: 名付け親だぞ)
“ライトノベル”と言う名前の誕生は、ソノラマ、コバルト、スニーカー文庫の台頭を受けてのもの。そして、1990年代に入ると、1980年代後半に蒔かれたファンタジーと少女小説の一大ブームが発生。
- 1992年 『十二国記』スタート
- 1992年 『<卵王子>カイルロッドの苦難』スタート
- 1993年 電撃文庫創刊
- 1993年 『爆れつハンター』『MAZE☆爆熱時空』スタート ← あかほりさとる
- 1993年 『ヤマモト・ヨーコ』スタート
- 1994年 『オーフェン』スタート
- 1995年 『スレイヤーズ!』アニメ化
1990年代前半は、ファンタジーブームと少女小説ブームだけでなく、あかほりさとるを中心にメディアミックス展開でも盛りあがる。あと、ファンタジーブームは1990年代前半とされることが多いけど、『スレイヤーズ!』がアニメ展開していたのは、1990年代後半なんだよなぁ。『スレイヤーズ!』の部数のピークも1996年ということだし。
- 1998年 『ブギーポップ』スタート
- 1998年 『マリみて』スタート
- 1998年 『フルメタ』連載開始
『ブギーポップ』は、ライトノベル史的に一つの区切りとされることが多いけれど、『ブギーポップ』によって何かが変わったというより、1990年代前半のライトノベルブームに対しての一つの区切りという意味合いの方が大きいと思う。まあ、『エヴァ(1995年)』の影響と学園異能の関連性を考えてもいいかもしれないけど。
- 2000年 『キノの旅』スタート
- 2001年 『天国に涙はいらない』スタート
- 2002年 『インフィニティ・ゼロ』スタート
2000年代に入って『To Heart(1997年)』『ONE(1998年)』『Kanon(1999年)』といった美少女ゲームの影響も目立ちはじめる。
- 2002年 『灼眼のシャナ』スタート
- 2003年 『涼宮ハルヒの憂鬱』発売
- 2003年 『撲殺天使ドクロちゃん』スタート
- 2003年 『彩雲国物語』スタート
- 2004年 『マリみて』アニメ化
- 2004年 『ゼロの使い魔』スタート
- 2004年 『ライトノベル完全読本』『ライトノベル☆めった斬り!』『このライトノベルがすごい!』発売 ← いわゆる「ライトノベル評論ブーム」
そして、ライトノベル評論ブームの以前/以降で区別されるケースも、見かけるようになってきた予感。『マリみて』『ハルヒ』のアニメ化と評論ブームで、ライトノベルが注目されるようになった、というのが最近の流れかしらん?
- 2005年 『灼眼のシャナ』アニメ化
- 2006年 『涼宮ハルヒの憂鬱』アニメ化
[ 2007.12.10 ]