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世界でいちばん透きとおった物語 /杉井光

すげー、すげーよ、杉井光。これは、絶賛するわ。絶賛せずにはいられない。マジすげー。

電撃文庫作家の杉井光が、珍しくラノベ界隈以外でも話題をさらっている一冊。「ネタバレ厳禁」とか「衝撃のラスト」とか言われているのだけど、この仕掛けはマジに凄いわ。さんざん煽れれていたので身構えて読み進めていたにも関わらず、気づいた時の衝撃がマジ半端ない。杉井光、まじ凄いな。

物語は、大御所作家の隠し子の少年が初めて会う兄の依頼で父の遺稿を探す、というミステリ。主人公はいつもの杉井光の書く主人公なのだけど、いまいち探偵役のヒロインの存在感が薄いので、今までの杉井光の作品と比べるとちょっと違和感ある。愉快な会話を繰り広げたりするわけじゃないしね。この作品に合わせて“素材”という言い方をすると、例えば、『楽園ノイズ』とかの方が全然おもしろいし、ストーリーもちょっと微妙で無理がある感じは否めない。

ところが、一冊通してみると、丁寧に作り込まれた内容が凄い。ラストの衝撃的で感動的な結末がとにかく素晴らしい。最高の物語だと思う。

ただ、少し気になるのは、ここまでこだわった作りなのに、「あとがきにかえて」は、あそこを読ませたいのはわかるのだけど、透きとおった文章になってないのはどうなんだろう。それやると、流石にあからさますぎるからかな?

[ 2023.06.26 ]