天冥の標
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早川書房 ハヤカワ文庫JA
天冥の標I メニー・メニー・シープ(上) /小川一水 -
全10巻の新シリーズで、第1巻から上下分冊。実質的には、何冊出すつもりなんだ? このシリーズ。……長編シリーズの1冊目ということで、後半は多少動きがあるものの、基本的には、舞台の背景説明がメインの一冊でした。まあ、長編シリーズ前提ならば、こういうスタートもありだと思うけど、それにしたって、もうちょっと前半で、掴みのある展開を仕込んでもいいかとも思ったりも。
というわけで、西暦2803年の地球から遠く離れた惑星メニー・メニー・シープが舞台。入植時のごたごたにより優れた科学技術を失った世界で、実権を握る領主ユレイン三世の圧政と、じょじょに不満を高めていく人たち、そして、惑星メニー・メニー・シープそのものに纏わる謎。という感じで、惑星メニー・メニー・シープにおける人々の暮らしを描くことに重きを置きながら、いろんな伏線を仕込むのが目的のような内容なので、序章も序章。まあ、今の時点でなにを語るべくもなく、とりあえず、続く下巻を読むぜっ!!
[ 2009.11.07 ]
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天冥の標I メニー・メニー・シープ(下) /小川一水 -
ちょっ、どーゆー展開だよっっっ!! ……いや、途中までは、偉い人が無能だとたいへんだよね、という話だったんだけど、いやぁ、最後のどんでんが酷い、酷すぎる。うわぁ~、続きが気になって、仕方ねぇ~~。
領主の弾圧により、溜りに溜まった市民の不満は、とうとう爆発へ向かう……。という感じで、とにかく、主人公のカドムの行動があまりに酷いのと、領主ユレインの無能ぶりが目に余るとか思いつつ読み進めてたら、なんだそのラストはぁ~~。いや、途中まではお約束お約束と思ってたんですよ。それが、うひぃ~、あひぃ~、そこまでやるかぁーーーっっっ!! そして、その引きは、あああああうぅ~。……いやぁ、凄い凄い凄すぎる。なんと凶悪で容赦ないんだっ!! てか、どこに行こうというんだ? この物語。
[ 2009.11.08 ]
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天冥の標II 救世群 /小川一水 -
ちょっ、1巻はすげー未来の話だったのに、2巻はいきなり現代なんですけどぉ~~。いや、繋がりはわかるんだけど、読み始めてビックリ。なんという構成だっ!!
南国パラオで発生した未知の伝染病。国立感染症研究所の児玉圭吾は、国際緊急援助隊の一員として、地獄と化した現地に赴く……。という感じで、非常にリアル指向のパンデミックシミュレーション。南国パラオを襲った致死率の高い感染症が、やがて世界各地でアウトブレイクしていくストーリーは、まさに圧巻。とにかく、良くも悪くも小川一水全開すぎる。や、ぐいぐい引っ張るストーリーはとてつもなく素晴らしいのだけど、ところどころリアルなシミュレーションよりストーリーの都合を優先する部分は、リアル指向としての出来がいいだけに、やっぱり違和感。あと、リアルなパンデミックシミュレーションをベースにしてるのに、1巻側のストーリーとの階梯と思しきSF的な伏線も、ちょっと違和感を覚えたり。
それにしても、非常に先が気になるラストの展開なのに、三巻予告。また、遠い未来に戻るのかぁっっっ!!
[ 2010.03.13 ]
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天冥の標III アウレーリア一統 /小川一水 -
1巻が西暦2800年、2巻が現在、そして今度は、西暦2310年だとぅ。いや、単巻としてみてもスペースオペラとしてきちんと面白く、そして、1巻、2巻との繋がりににやにやしつつ楽しめるという、いやぁ、読んでてホント、楽しい楽しいっ!!
西暦2310年太陽系内に生活圏を広げた人類。強襲砲艦エスレルの艦長アダムスは、宇宙海賊の掃討に心血を注いでいた……。という感じで、1巻の500年前、2巻から300年後を舞台にしたロマン溢れる海賊退治っ!! いやぁ、おもしろいおもしろい。でも、アダムスは男の娘ではなく素直に女の子にして欲しかった。や、宇宙戦闘は楽しいのだけど、恋愛要素が少ないのが、個人的には残念無念。
それにしても、1巻2巻と読んで、1巻と2巻の世界を交互に描くような構成なのかしらん? と予想してたのだけど、このシリーズ、1000年に渡る歴史でも描くつもりか、すげぇ。1巻の固有名詞ががんがん出てきたり、2巻のその後を伺わせる話があったり、シリーズものとしてもにやにや楽しい作りで面白いんだけど、……1巻の続きはいつ読めるんだ?(^^;。
[ 2010.07.16 ]
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天冥の標IV 機械じかけの子息たち /小川一水 -
エロエロよーーーっっっ!! 1巻が西暦2800年、2巻が現代、3巻が2310年で、本巻は3巻の数年後か。やっぱり、現代から、1巻のキーワードを拾い上げつつ 1巻の世界に近づけていくのかしらん。今回は、誤解を恐れず言えば、TVアニメの水着回? 1巻の《恋人たち》に繋がるエピソードなんだけど、まあ、エロエロなだけで息抜き的な回。……ぶっちゃけ、520ページもかけてやるネタじゃないよね。正直、途中で飽きた(^^;。
[ 2011.06.12 ]
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天冥の標V 羊と猿と百掬の銀河 /小川一水 -
うわぁ、スケールでけぇ。西暦2349年の農民父娘と6000万年前に生まれたダダーの半生を交互に描く構成になっているのだけど、ダダー側の話がやたらでっかい話になっていてビビる。まさかここまでスケールの大きな話を想定していたとは、予想外でした。や、このシリーズって、地球外生命も出てくるけれど、結局は、1巻で描いた西暦2800年の世界に続く人類の歴史を描くような話だと思っていたのですよ。それが、ストーリーの根幹からして、人類なんてちっぽけな枠組みの話ではなかっただと……。うわぁ、そうだとすると、1巻2巻の印象も変わるなぁ。すげぇ。
それはともかく、1巻の世界のキーワードを少しずつ明らかにしながら進む展開がほんとに面白い。全10巻予定ということは、ちょうど、ここら辺が折り返し地点か。ほんと1巻の話にどう繋げていくんだろう。
[ 2012.01.02 ]
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天冥の標VI 宿怨 PART 1 /小川一水 -
うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!! 西暦2015年の冥王斑ウイルスのアウトブレイクを綴った2巻からのストーリーが、いよいよ1巻のメニー・メニー・シープの前夜まで接続されたっ!! うわぁ~、ここで改めて、1巻を読み直すと、切なくて切なくて、涙ちょちょぎれる。イサリ……(T-T)。
西暦2499年。《救世群》が謎の動きを見せる中、少女イサリと少年セアキは出会う……。と、1巻で西暦2803年の世界を描き、その後、2巻で2015年に立ち戻ってから、3巻で2310年、4巻で2313年、5巻で2349年と、じょじょに1巻と2巻の間を埋めていくような構成で作られたこのシリーズ。今までも、1巻と2巻をつなぐキーワードや名前、イベントを織り交ぜながらストーリーが紡がれてきたけれど、この6巻で、まさかここまで話を詰めてくるとは。いよいよ、1巻にそのまま繋がるような展開に、もう、興奮しっぱなしですよ。基本的な登場人物とキーワードは、ほぼ勢ぞろい? 世代を重ねての800年に渡る壮大なストーリーがほんと素晴らしい。今まで既刊を手に取りながら読まなきゃいけなかったのも、今回は、巻末に人物・用語集もついて、読みやすさも格段に上がって、いや、まだまだ先は長いんだよな。楽しみすぎるっ!!
[ 2012.05.16 ]
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天冥の標VI 宿怨 PART 2 /小川一水 -
おめでとう。もう、やめていいのです。
すごい、ゾクゾクくる。幸せに到る道はすぐそこにあったのに、気づいたときには、もはや引き返せない絶望感。奴隷のように《救世群》に従うカルミアンが怖すぎる。そして、いよいよ始まった《救世群》の戦闘も圧巻で、素晴らしすぎるっ!!
そゆわけで今回は、《穏健な者》とのファーストコンタクトを経て、やがて、人類との戦争に突き進んでいく《救世群》を描いた物語。ミスン族およびカンミアの歴史が、やっぱりスケールがでかくて素晴らしい。そして、ほんとに圧巻なのが、いよいよ始まった艦隊戦で、寡兵ながらも圧倒的な技術力で制圧していく展開が、すげー熱すぎるっ!! 単に圧勝するだけでなく、そこここに漂う敗戦フラグが、なおさら哀しくも熱い展開を盛り立ててるよねぇ。で、対するロイズ側のジェズベル女史もヤバくなってるのだけど、……えっと、《救世群》側の敗北ではなく、もしかして、人類全滅フラグなのか、これ。
それにしても、第一巻の様子から、どうしようもなく悲劇のヒロインなイサリが、あまりに流されやすい性格でダメ人間すぎる。正直、もうちょっとヒロインヒロインするのかと思ってたよ(^^;。……そいえば第一巻では、2503年にシェパード号が惑星ハーブCに到着ってことになってるのだけど、本巻が2501年~2502年なので、航行期間を考えるとすでにあちこち矛盾があるんだよなぁ。一巻の時代では、2500年当時の記録が改ざんされているのは間違いないのだけど、やはり次巻辺りで、致命的な何かが発生するんだろうか? 現在唯一の恒星間宇宙船ジニ号が13人乗りなのに、シェパード号が2万人の移民を収容していたのも気になる。というか、やっぱ、ハーブCが太陽系外惑星というのが嘘なんだろうなぁ。下手すると、2万人しか生き残らないんじゃね?という感じもする人類の行く末が、私、気になりますっ!!
[ 2012.09.04 ]
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天冥の標VI 宿怨 PART3 /小川一水 -
すげー、凄かったっ!! 人類と《救世群》の全面戦争もいよいよクライマックスっ!! 目次の章題からして、作品名そのままの「第五章 天冥の標」、そして「終章 全太陽系応答なし」と、クライマックス感がハンパないっ!! もちろん内容もめちゃくちゃクライマックスで、ほんと、すげーおもしろかったっ!!
勝利を目前にし、硬殻化による《救世群》の悲劇を知る准将オガシ。その圧倒的な戦力を有する《救世群》の前に立ち塞がる、ドロテアを駆るアイネイア・セアキ。一方、小惑星地下都市ヒエロンでは、《救世群》と人類の悲劇を回避する動きが……。と、前巻ラストの衝撃が、微妙に肩透かしな感もするけど、予想を超える怒涛の展開が凄い。ミヒルの歪んだ信仰と地球外知的生命体たちの代理戦争が怖いなぁ。そして、セアキ少年は、やっぱそうなるか(笑)。や、とにかく圧倒的でスケールの大きい話だよなぁ。1巻で、西暦2803年の植民星を舞台を描きつつ多くの謎を残したまま、いきなり2巻で西暦2015年の冥王斑パンデミックを描きはじめたりしたこのシリーズだったけど、なるほど、こういう物語だったのか。千茅さん、あなたの子孫は、遠い未来でこんな大変なことをしでかしちゃいましたよ。
次巻は、メニー・メニー・シープの建国の物語か。1巻によれば、キーになる人物は、《建国の女》サンドラ、政治家ハン、宇宙仕官アウレーリア、建築家ラゴス、医師セアキ、偽薬売り(ダダー)、甲板長ユレインか。1巻に繋がる人物はだいたい出揃ってきたけど、サンドラとかユレインとかはまだだったっけ? あれ? 今巻大活躍のメララは未来世界で存在感ないんだっけ?
[ 2013.01.30 ]
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天冥の標VII 新世界ハーブC /小川一水 -
いよいよ、メニー・メニー・シープ建国の秘密がここにっ!! 2巻の冥王斑のパンデミックからはじまる壮大な物語が、「どうして1巻のような舞台になったんだ?」というのが最大の謎の一つだったわけだけど、うわぁ、こんなことがあったのか……。
《救世群》のばら撒いたウイルスにより、絶滅の危機に瀕する人類。小惑星セレスの地下に逃れたのは、5万人の子供たちだけだった……。と、危機的状況で子供たちだけ取り残されるというと、『十五少年漂流記』というよりも『バイファム』辺りを思い出さずにはいられないのだけど、うわぁぁ、ぜんぜん困難さが違う。規模からして、5万人ってムチャすぎるわっ。もともと訓練を受けて優秀なスカウトのメンバたちも、振り回され、多大な犠牲を払いつつ、どうにか生き延びる仕組みと組織を組み立てていくのが、いやぁ、とにかく壮絶で凄い。のちに伝説となる《建国の女》サンドラ、政治家ハン、宇宙士官アウレーリア、建築家ラゴス、医師セアキ、そして、ダダー。伝説では語られていない苦悩が素晴らしいわ。
そして、次で、いよいよ1巻のラストの続きが描かれるのだろうけれど、いやぁ~、めちゃくちゃ楽しみすぎるわっ!!
[ 2014.01.08 ]
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天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART 1 /小川一水 -
とうとうメニー・メニー・シープだぁぁぁぁぁっっっ!!
いやぁ、一巻で描かれたメニー・メニー・シープの、西暦2803年の世界に、長い長い壮大な物語を経て、とうとう辿りついたよっ!! 今回は、一巻の内容をイサリ視点で描きなおすといった風なのだけど、改めて背景を知って読むと歪みきった世界が凄いな。一巻のときに思っていた以上に危機的状況だけれども、ここからどう立て直していくんだ? ミヒルに発見された時点で人類滅亡にチェックメイトのような気がするのだけど……。
次巻は、いよいよ1巻のあのラストの続きになるのだけど、とにかく楽しみでたまらないっ!! ……それにしても、いろいろな期待を背負ってメニー・メニー・シープへ来たハズのイサリは、結局、期待に沿うどころかまともな働きをしてないような気がするのだけど、次はきちんと活躍するのでしょうか(^^;。
[ 2014.06.03 ]
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天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART 2 /小川一水 -
ジャイアント・アーク!!! 世界を覆う天井、方舟以外に、そんな意味も重ねていたのかっ!!! そんなところまで飛び出して、救世群は、ミヒルはいったいなにをやってるんだ??
そゆわけで、咀嚼者の襲撃を受け、暗闇に閉ざされたメニー・メニー・シープ。大統領エランカは復興のため困難な闘いに挑み、カドム、イサリたちは、真実を求めて世界の外へ旅立つ。と、太陽系覇者である咀嚼者の襲撃で、一気に滅亡寸前まで陥るのかと思ったら、わりと頑張るのね人類。むしろ、ラストに向けて、明るい兆しが見え隠れするような、そんな展開が散見されるような……。一方、世界の真実は、いまだ上手く情報が隠されていて、気になる気になる。マジ、どうなってるのよ、セレスは!?
それにしても、イサリにとっては1年前というのが、いろいろなところでクるものがあるな。動きを見せないミヒルが不気味で仕方ないのだけど、とにかく続きが楽しみすぎるっ!!
[ 2014.12.25 ]
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天冥の標IX ヒトであるヒトとないヒトと PART 1 /小川一水 -
スンクフウーエー。なんだ、このスケールの大きさはっ!! 《救世群》vsメニー・メニー・シープと思っていた物語が、事実が明らかになるにつれて、どんどんスケールが大きくなっていく凄まじさ。セレス移動の謎と《救世群》の目的、謎の宇宙艦隊の存在、そして、カルミアン。わー、ダダーのやりとりがもう最高っ!! いやー、もともと、地球外知的生命体たちの、永劫の時と銀河レベルの攻防を背景に秘めてはいたけれど、《救世群》の物語が、いよいよそのスケールの大きい攻防に組み込まれるようになったかっ!!
一方で、カドムやイサリたちは、未だ自分たちのことだけでいっぱいいっぱいなのだけど、その対比も凄いな。アクリラを交えて、なんだか愉快な関係になってるし。カドムとイサリたちの一行が、物語の鍵になっていくのは間違いないと思うのだけど、すでに彼らの思惑を超えていきなり大きいスケールの物語になってるんだけど、どうするんだ? 確かカドムたちの目的は、「とりあえず、メニー・メニー・シープの外を探索して来ようぜ」ぐらいなものだったよな? スケールの急激な拡大に圧倒されっぱなしの本作だけど、カドムたちの今後も含め、ほんと続きも楽しみで仕方ないっ!!
[ 2015.12.23 ]
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天冥の標IX ヒトであるヒトとないヒトと PART 2 /小川一水 -
いよいよ残りは10巻のみとなり、物語も大詰め。でも、ここにきてミヒルの存在感が薄いんですけど(^^;。
セレス探検から一気に星間戦争までスケールを広げた前回の衝撃が抜け切れていない今回だけど、いきなり、その星間戦争に突入するわけはなく、まずは《救世群》との決着か。ですよねー。……前回があまりに凄まじかったので、セレス内でちまちましてる展開は、正直、ちょっと物足りないかな。それに、そのちまちました展開も、なんだか、かなり都合よくことが進むのも気になる。メニー・メニー・シープ側も《救世群》も、まだまだ、問題山積してるのに、ちょっと端折りすぎじゃないかなー。
なにはともあれ、次で最終の10巻。いや、10巻が何冊続くかわからないけれど、さて、どう決着つけるのかしらん。
[ 2016.10.24 ]
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天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 /小川一水 -
いよいよ最終第10巻。ん? 世界を救うのは、セックスという話になるのか?<をい
ついに戦端が開かれる二惑星天体連合軍と超銀河団諸族。そして語られる、残された太陽系の絶望。いやー、隠されていた情報が明らかになってきたので、いろいろと見通しが良くなってきたな。一気に整理されていろいろ見えるようになったせいで、むしろ物足りなさを感じるまである。MMS、救世軍、2PA、カルミアン、セレスに集まった関係者全員が、大きな敵を前にして協調していく様は感慨しかない。そして、ダダーのノルルスカイン。今まで裏であれこれしてたのに、今になって、そんなんでいいのか(笑)。
一方、全宇宙の敵となってるオムニフロラの動きが見えなくて不気味なのだけど、さて、次巻はクライマックスかしらん。
[ 2018.12.23 ]
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天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART2 /小川一水 -
うわっ、マジにセックスが宇宙を救うのか。『超時空要塞マクロス』で歌の代わりにセックス、一条輝と早瀬未沙がゼントラーディ軍の前でキスの代わりにセックスしちゃうパターンのヤツだっっっ!!
や、前回の流れで「セックスが世界を救う話かしらん」と思ったら、思った以上にストレートにそういう展開になっていて、もうびっくりですよ。このままだと、カドムとイサリが全宇宙生物の見てる前で公開セックスですよ、やべぇぇぇぇぇっっっ!! いよいよ次巻・最終巻、最終巻ですよね? に大期待ですっ!!
ただ、そんな中、気になったのは、ラスボス・ミスチフの説明で、肝心のところが生物学的に間違ってるorz。作中の説明だと「生殖せず進化もしてないから全宇宙の敵」ということになってるのだけど、どう解釈しても、進化も繁殖も生殖もしてるんですよね。例えば、一部分からでも再生可能なのは、全ての細胞に完全な遺伝情報が転写されている=進化しているということになるし、株分けによる拡大も植物では比較的一般的な繁殖&生殖の形態なんですよね。物語の根幹にかかわる部分なのに、なんでそんなとこ間違えるかなー。
[ 2019.01.28 ]
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天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 /小川一水 -
このやたらスケールのでかい長編SFシリーズも、いよいよ完結。この最終巻は、作品のメインテーマだけあってエッチしまくるのだけど、うーん、もっと羞恥プレイに振るのかと思ったら、わりとふつーでがっかりだっ!!<をい
なにより壮大な物語だったので、読み終えて、感無量でなかなか言葉が出てこないけれど、ただ、微妙な物足りなさはやっぱり感じてしまう。カドムとイサリとアクリラの3Pは、もうちょっとなんとかならなかったのか、とか、ミスチフとノルルスカインも、もうちょっと、こうね。あとは、やっぱり、進化と繁殖に関しての誤謬は、物語の根幹に近いので、気になっちゃうよねぇ。素晴らしい作品だっただけに、何か書こうとすると、どうにも些末なところが気になってしまうなぁ。
何はともあれ、1巻と2巻で「現代から西暦2800年まで描く」と示され、その時点でもスケールの大きさに度肝を抜かれたのだけど、それが、まさか数百年どころか数千万年の時を超え、多数の異星生命体を加えた、これほどの壮大な物語に化けるとは。巻が進むに従いがんがん広がっていくこのスケールのでかさは、マジに素晴らしいシリーズでした。読み終えて、とにかく感無量だ。
[ 2019.02.25 ]