2018年 12月 10日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ ソードアート・オンライン(21) ユナイタル・リングI /川原礫 -
えっと、一冊、読み飛ばしてるわけじゃないよな。……アニメオリジナルの劇場版「オーディナル・スケール」辺りだと思うのだけど本編にないネタが随所に出てきて、かなり意味不明なんですがっ。
というわけで、この21巻から新シリーズ開幕。今度は「サバイバルゲーム」ってことで、「ALO」をログイン中のプレイヤーたちが、強制的にバトルロワイヤルゲームに飛ばされるという展開。や、「SAO」の事件に続くVRを巡る大規模事件が発生してるわけですが、これだけ問題発生してるシステムを使い続けているこの世界はいったい(笑)。レベル1でコミカルにいろいろ苦労するキリトというのは斬新で笑うのだけど、ただ、さすがに他のプレイヤーに苦戦するのはやりすぎだろっ。まあ、展開はいろいろと不自然な部分が多いのだけど、コミカルテイストだし、おもしろいのでいいか。
ただやっぱり気になるのは、どうにも、知らないわからないネタが多すぎだ(^^;。う~ん、変に本編以外のネタは入れないで欲しいなぁ……。
[ ソードアート・オンライン ]
2018年 12月 13日
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TOブックス
◆ 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部「貴族院の自称図書委員V」 /香月美夜 -
中休み的な話がもう一冊かっ。前巻に続き、貴族院一年目~二年目の間の日常を描いた内容の本巻。まあ、さすがに大きく物語が動いたりはしないかー。
そんな感じなので、あんまり見どころもないのだけど、強いてあげれば、久しぶり?に私の好きなフリーダ登場っ!! って、でも、マイン時代唯一の女友達で、生命の恩人という立ち位置なのに、この扱いはいったい(T-T)。設定だけで言えば、ルッツと同格といってもいいはずなのに、ほとんどその他住民Aと化してるんですがっ。あんなことやそんなことや、もっといろいろあってもいいだろぉ~~。
[ 本好きの下剋上 ]
2018年 12月 16日
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早川書房 ハヤカワ文庫JA
◆ 最後にして最初のアイドル /草野原々 -
kindle版の半額セールに乗じて購入。もともと、『ラブライブ!』の二次創作として pixiv で公開されてたということだけど、なるほど、いい意味で素人らしい粗削りな怪作。話題になってたのは知ってたけど、うわっ、星雲賞受賞してたのかー。
まあ、『ラブライブ!』の二次創作ということで、あからさまに 矢澤にこらしいキャラと西木野真姫らしいキャラがSF的なアイドル活動していくわけよ。SFでこういうタイトルだと、そりゃそういう物語だよな、というお約束な感じではあるのだけど、ただ、途中途中の展開や描写がめちゃくちゃぶっ飛んでる。いいセンスだっ!! でも、作者がSF好きなのはわかるんだけど、『ラブライブ!』や矢澤にこへの愛情は感じなかったのが、ちょっともにょる。にこ や まきに、あまり魅力や輝きを感じない……。
この文庫版は短編集で、表題となっている「最後にして最初のアイドル」のほかに、ソシャゲをネタにした「エヴォリューションがーるず」と声優をネタにした「暗黒声優」が収録。この三編のなかでは、「エヴォリューションがーるず」がいちばん好みかな。トラックに轢かれた主人公がやりこんでるソシャゲの世界に転生して俺TUEEEEEEEEEする話。素人らしい筆致もあって、まさに「小説家になろう」で見かけるようなテイスト。主人公、洋子と途中で仲間になるキャラたちとの関係はめちゃ好み。意味不明に進化した他のプレイヤーとの戦闘も楽しい。
「暗黒声優」は、うーん、他の二編に比べると、いまいちに感じたのだけど、ネタがわからなかっただけかなぁ? ちゃんと、登場人物のモデルになってる声優までわかればよかったんだけど、最近の声優には疎いからなぁ。もし、モデルになる声優がいないのなら、作品としてパンチが弱すぎて話にならんよね。オタクネタとSFを混ぜるのは、三作目だと、正直、新味に欠けてツライというのもある。
[ 最後にして最初のアイドル ]
2018年 12月 21日
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ソフトバンククリエイティブ GA文庫
◆ ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14 /大森藤ノ -
リューさぁぁぁぁぁぁぁんっ!! いや、前巻から続く過酷で絶望的な展開が素晴らしすぎるなぁぁぁぁっ!! 前半はベル不在で絶望的なボス戦に挑むヘスティア・ファミリア達、後半はさらに過酷な展開が続くベルとリオンの決死行という構成で、どこまでベルたちを追い詰めるんだって話ですよ。前半だけでも、何度も泣かされるような熱い展開なのに、それをさらに超えてくるベルとリオンの絶望的な決死行……。そして、リオン、リューさんがかわいすぎるぅぅぅっ!! <をい
深層37階。アイズすら恐れる深層に、異常事態が生み出した怪物・ジャガーノートとともに落とされたベルとリオン。満身創痍な二人に対して、とことん心を折りにくる展開。ベルだけでも救おうとするリオンに、過酷な状況でもまっすぐに生きようとするベルが、もうたまらないわ。ほんと凄すぎだろぉぉぉっ!!
前半のリリ達の決死行も凄くて、いやぁ、ヴェルフといいカサンドラといい、それぞれのトラウマを超え、限界を超えていく展開が泣けてくるわ。熱いっ!! 600ページを超えるやたら分厚い一冊だったけれど、最後まで気が抜けない熱い展開が凄いねっ!! ……次巻は日常編らしいけれど、一気にヒロインレースの最右翼に躍り出てきたが妖精ヒロインに期待です。って、トゥルーエンドはありませんかそうですか(^^;。
2018年 12月 23日
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早川書房 ハヤカワ文庫JA
◆ 天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 /小川一水 -
いよいよ最終第10巻。ん? 世界を救うのは、セックスという話になるのか?<をい
ついに戦端が開かれる二惑星天体連合軍と超銀河団諸族。そして語られる、残された太陽系の絶望。いやー、隠されていた情報が明らかになってきたので、いろいろと見通しが良くなってきたな。一気に整理されていろいろ見えるようになったせいで、むしろ物足りなさを感じるまである。MMS、救世軍、2PA、カルミアン、セレスに集まった関係者全員が、大きな敵を前にして協調していく様は感慨しかない。そして、ダダーのノルルスカイン。今まで裏であれこれしてたのに、今になって、そんなんでいいのか(笑)。
一方、全宇宙の敵となってるオムニフロラの動きが見えなくて不気味なのだけど、さて、次巻はクライマックスかしらん。
[ 天冥の標 ]
2018年 12月 28日
WEBマンガ雑誌「タタン」で、250万乙女の聖書『星の瞳のシルエット』の20年後を舞台にした新連載がスタート!! いやー、ここ数年、続編として『ENGAGE』が何編か続きましたが、今度は20年後が舞台かよ。Web上の紹介文によれば、“北東大学の新入生・瀬戸川柚希は、入学式の日、素敵な男性に出会う。大学とアルバイト、そして、憧れの人…。柚希の、星屑のようにきらめく日々が始まる――”と、久住くんは東北大学に進学したことがわかっているので、「北東大学」というのは東北大学の言い換えだよね。となると、“素敵な男性”というのは久住くんで確定。新主人公の柚希と30代後半の久住くん、さらにもう一人の三角関係な恋愛物語ということかしら? ……久住くんの不倫ものかー。<をい
とりあえずの第一話は、さっそく久住くん(らしい人)が登場。背景に ぽん太くんとか飛んでて、めちゃ懐かしいっ!! ストーリー的には、入学式での久住くん(らしい人)とバイト先でのコージくんとの出会いまで。まずは、登場人物の紹介と説明という感じ。このキャラ配置だと、香澄は絡んできそうもないし、久住くんはメインで絡むとしても、先生と学生という関係だと どこまで深く絡んでくるかちょっと疑問。今回の新シリーズは、思ったよりも、『星の瞳』色は弱そう。……あと、コージくんは、久住くんと香澄の子どもの線もあるかと思ったのだけど、年齢が18歳、本編の20年後だとちょっと年齢が高すぎるよなー。続編の「ENGAGE V」でプロポーズこそはしてるけど、学生結婚で子どもを作るとかはさすがに想像できないし。
しかし、舞台の北東大学なのだけど、ぜんぜんリアルな東北大学っぽさがなくて、東北大学OBの私としては、もうガッカリ。東北大学っぽい風景ではないし、そもそも学生が女子ばかりとかありえないだろ。<をい
2018年 12月 29日
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オーバーラップ オーバーラップ文庫
◆ ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで(2) /篠崎芳 -
「小説家になろう」側 の連載が三か月以上止まっていたので心配だったのだけど、無事に書籍版の2巻も出ました。や、異世界召喚からの復讐モノとしてはクオリティが高くて凄く好きなんですよね。
内容は「小説家になろう」版と変わってなさそうだけど、この二巻は、国を追われたハイエルフのヒロイン・セラスと行動を共にするまでが描かれてます。単なる俺TUEEEEEでは終わらない、癖の強い【状態異常スキル】が、緊張感ある戦闘を演出していておもしろい。ただ、ちょっと分かりづらいよな。正直、なぜ、人類最強にだけ、あれほど苦戦するのかわからん(^^;。他の勇者の動向とその勇者たちとの圧倒的なレベル差も物語として楽しいところなのだけど、ただ、そのレベル差がトーカの強さの裏付けに見えないのも、多少、気になる。や、トーカはもうちょっとわかりやすく圧倒的な力を見せつけてもいいと思うわけよ。まあ、そこら辺も含めて、トーカよりも逆境に陥っている十河側のストーリー展開のほうが気になるよねー。
それにしても、書籍版は、イラストを書いてる場面のチョイスがサービスシーン多めなのが気になる。そのチョイスは、うーん、ちょっと作品の方向性とズレてる気がするんだよなー。ちゃんと打ち切られずに続編続くんだろうか。体調不良で数か月止まってたという、作者の健康状態も心配になるけれど……。
2018年 12月 31日
今年(2018年)は、「小説家になろう」の小説ばかり読みまくってた1年でした。紹介記事も何本も書いてましたが、年末ということで、改めておススメな作品をまとめて紹介します。私、一応、1980年代から読んでる古参のラノベ読者のつもりですが、もう、なろうだけでも生きていける気がしますね。<をい
神統記(テオゴニア)
https://ncode.syosetu.com/n1784ee/
なろう系らしからぬ本格的な異世界ファンタジー。亜人が跋扈し日々の食糧も欠く過酷な辺境を舞台にした少年の成長物語。中世ヨーロッパ風でもゲーム的でもない、作者独自の世界観を非常に高いレベルで構築していて、骨太で地に足のついたファンタジーです。筆力も圧倒的で、なろう系を敬遠している人にこそ、まずは読んでいただきたいです。
身体は児童、中身はおっさんの成り上がり冒険記
https://ncode.syosetu.com/n9984fb/
田舎貴族の両親にハブられてる息子に転生という、めちゃくちゃお約束パターンの異世界転生モノ。非常によく見るお約束な設定なのだけど、特筆すべきは主人公の性格で、空気読めない系の科学者といった感じのキャラ。マッドサイエンティストというとちょっと違うのだけど、その現実世界にいてもズレた性格の主人公が、魔法世界で、しかも子供というのが、より一層おかしくて愉快すぎるんですよ。もちろんお約束な、チートな魔法スキルと転生前の科学知識で好き放題する展開も楽しい。更新頻度も一日一回以上更新するようなハイペースで、毎日、もの凄く読むのが楽しみな作品になっています。
異世界賢者の転生無双 ~ゲームの知識で異世界最強~
https://ncode.syosetu.com/n3428fa/
作者は書籍化&コミカライズもされている『失格紋の最強賢者』の進行諸島。なので、おもしろさは折り紙つき。プレイしていたゲームそっくりの異世界に転生して、ゲーム知識で無双する異世界転生モノ。まだ主人公は低レベルなのでいろいろ苦労はするのだけど、攻略知識でさくさくと無双する展開で、そのバランスが非常に楽しいです。……しかし、元のゲームって、攻略情報の有無で難易度が全然違うわけで、どう見てもゲームバランスが酷いくそゲーだよね。
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで
https://ncode.syosetu.com/n1785ek/
クラス丸ごと召喚された中で、ひとり見せしめに追放されるところからスタートする復讐モノ。なろうではよくあるパターンだけど、その中では圧倒的に素晴らしい作品。復讐相手である女神の絶対強者としての地位と腹黒さ、主人公の復讐への思いの強さと実力を発揮するには工夫が必要なチート能力。“復讐”というストーリーの軸がしっかりしている上で、単に復讐して“ざまぁ”というわけでもない、非常によくできたストーリー展開。作者の体調不良で一時更新が止まって心配だったのですが、最近無事復活して、とても安心しました。
収納魔法都市~お前らみんな底辺に落としてやる
https://ncode.syosetu.com/n9938eu/
6月14日連載スタート、7月7日に全18話で完結。1か月足らずで怒涛のように駆け抜けた作品。魔王討伐後に勇者パーティーの仲間に裏切られた主人公が、絶望の中、全人類に復讐を誓い実行していく物語。“ざまぁ”メインの物語って、途中でダレたりブレたりすることが多いのだけど、この作品はブレることなく、最後まできちんと読者の期待通りにやり切ったところが素晴らしい。全人類に容赦ないところもポイント高い。ほんと、復讐モノはこうでなければいけない。
察知されない最強職《ルール・ブレイカー》
https://ncode.syosetu.com/n5475dz/
ポイントを自由にスキルに割り振れるチート能力持ちの主人公が隠密系のスキルにポイント振りまくって活躍する物語。冒険者の枠に収まらず、世界を股に各国の王様を巻き込んで好き勝手する展開はホント楽しい。作者はスーパーダッシュ小説新人賞からデビューした10年以上の実績のある三上康明で、なろうの中では、やっぱりクオリティーは段違い。あ、この作品も書籍化されているのだけど、書籍版は読んでないんだよな(汗;。
転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~
https://ncode.syosetu.com/n4936dp/
神様から過度にチート能力を授けられた主人公が活躍する、気持ちよいほどに俺TUEEEEEEな異世界転生モノ。物語としては、これといった特徴のない俺TUEEEEEEEなんですが、適度に黒い主人公の性格や、物語の展開はもちろん、その展開に関しても、きちんと書くべきところとさくっと済ませるところの選択が絶妙で、とにかく、めちゃくちゃめちゃくちゃ私好み。
この作品を読んでると、なろうって、山ほど似たような作品があるからこそ、ものすごく自分好みの作品を見つけることができるということが実感できるんですよ。「なろうは似たような作品ばかり」という人は、本当に自分にフィットした作品を知らない、不幸な人なんだと思います。