好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! - 2018年1月


2018 1 3

KADOKAWA 富士見L文庫
ひとりぼっちのソユーズ 君と月と恋、ときどき猫のお話 /七瀬夏扉

最高傑作級。切なく哀しく感動的な物語。

ソユーズ――国際宇宙ステーションへの連絡船として有名だけれども、もともとは有人月旅行計画のために開発され、けれども月には行けなかった宇宙船。この作品は、幼なじみの少女と少年が月に憧れ宇宙飛行士を目指す物語なのだけど、そのタイトルに「ソユーズ」と冠することからもわかる通り、とにかく哀しく切ない。子供時代から、中学、高校と、その一途で繊細な想いやすれ違いを、情緒的でせつなさあふれる筆致で綴られていて、それが哀しくて泣けてくる。

少年の一人称で綴られた物語なのだけど、その一人称視点のせいか、少女―ロシアとのハーフでその生まれのために宇宙への憧れが強く、しかし身体が弱い―ユーリヤとの距離感が絶妙で、また、多くを語らずに行間に託すような描写が素晴らしい。しかし、あとがきによると、これだけ削った文章なのに「カクヨム」掲載時に25,000字だったのを100,000文字に増量してるのか。って、「カクヨム」を見たら、三部構成の第一部の短編を増量して書籍化してるのんね。いやー、もちろん、作者、七瀬夏扉の物語も素晴らしいのだけど、このような形で書籍化した担当編集も凄いなぁ。

[ ひとりぼっちのソユーズ ]


2018 1 8

ラノベ人気投票「好きラノ」、今回は、参加者数1,002名、総投票数3,815票となりました。たくさんのご投票ありがとうございます。集計にはtwitterの提供するAPIを用いて機械的に処理しています。twitterの検索精度が低いこともあり、集計漏れの可能性がありますが、ご了承ください。……もともと精度と使い勝手が悪かったtwitterの検索機能が今回、さらに悪化しており、マジ勘弁してほしいです。

投票結果の詳細は、「好きなライトノベルを投票しよう!! 2017年下期」のページから参照できます。

総合

前回(2017年上期)では、『本好きの下剋上』が圧倒的な票数を集めていましたが、今回は、MF文庫Jの新人賞受賞作『絶対彼女作らせるガール!』が1位となりました。『本好きの下剋上』も引き続き人気は高く、対象期間中に発売された二冊が、それぞれ2位と5位にランクイン。上位作品は なろう系が多く特にTwitter上のファンが多い作品が強い印象です。

  • 1位(78票) 絶対彼女作らせるガール! /まほろ勇太
  • 2位(70票) 本好きの下剋上 第四部「貴族院の自称図書委員I」 /香月美夜
  • 3位(65票) レア・クラスチェンジ! V /黒杉くろん
  • 4位(63票) 魔王様の街づくり!(3) /月夜涙
  • 5位(54票) 本好きの下剋上 第三部「領主の養女V」 /香月美夜
  • 6位(48票) 転生したらスライムだった件(11) /伏瀬
  • 7位(46票) 異世界迷宮の最深部を目指そう(9) /割内タリサ
  • 8位(44票) 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 /大澤めぐみ
  • 9位(41票) 転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい(5) /ちょきんぎょ。
  • 10位(40票) りゅうおうのおしごと!(6) /白鳥士郎

次に、2017年下半期に出た新作と2017年上半期以前から続いている既存シリーズを、シリーズ単位で再集計したランキングです。やはり新作の『絶対彼女作らせるガール!』の強さが目立ちますね。

新作

  • 1位(78票) 絶対彼女作らせるガール! /まほろ勇太
  • 2位(44票) 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 /大澤めぐみ
  • 3位(31票) 暗殺拳はチートに含まれますか? /渡葉たびびと
  • 4位(28票) 回復術士のやり直し /月夜涙
  • 5位(27票) 美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!! /春日部タケル
  • 6位(26票) ひとりぼっちのソユーズ /七瀬夏扉
  • 7位(24票) ヴぁんぷちゃんとゾンビくん /空伏空人
  • 8位(22票) 異世界おもてなしご飯 /忍丸
  • 8位(22票) ワキヤくんの主役理論 /涼暮皐
  • 10位(21票) 群青の竜騎士 /尾野灯
  • 10位(21票) 先生とそのお布団 /石川博品

既刊

  • 1位(78票) 本好きの下剋上 /香月美夜
  • 2位(65票) レア・クラスチェンジ! /黒杉くろん
  • 3位(63票) 魔王様の街づくり! /月夜涙
  • 4位(48票) 転生したらスライムだった件 /伏瀬
  • 5位(46票) 異世界迷宮の最深部を目指そう /割内タリサ
  • 6位(44票) 86―エイティシックス― /安里アサト
  • 7位(41票) 転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい /ちょきんぎょ。
  • 8位(40票) りゅうおうのおしごと! /白鳥士郎
  • 9位(34票) ソードアート・オンライン /川原礫
  • 9位(34票) 始まりの魔法使い /石之宮カント
  • 9位(34票) 冴えない彼女の育てかた /丸戸史明
  • 9位(34票) ありふれた職業で世界最強 /白米良

最後に、Twitterからの投票とブログからの投票をわけたランキングです。ざっくりいうと、Twitter票は投票の敷居が低いため、なろう系が多くてメジャー傾向、ブログ票は、古参のラノベ読みが多いため、マニア向けの傾向になっています。もしかして、両方にランクインしているのは『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』だけですかっ。いつも以上にTwitter票とブログ票の傾向の差が大きいように思えます。

Twitter票

  • 1位(75票) 絶対彼女作らせるガール! /まほろ勇太
  • 2位(68票) 本好きの下剋上 第四部「貴族院の自称図書委員I」 /香月美夜
  • 3位(65票) レア・クラスチェンジ! V /黒杉くろん
  • 4位(63票) 魔王様の街づくり!(3) /月夜涙
  • 5位(53票) 本好きの下剋上 第三部「領主の養女V」 /香月美夜
  • 6位(48票) 転生したらスライムだった件(11) /伏瀬
  • 7位(46票) 異世界迷宮の最深部を目指そう(9) /割内タリサ
  • 8位(41票) 転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい(5) /ちょきんぎょ。
  • 9位(36票) 86―エイティシックス― Ep.3 /安里アサト
  • 9位(36票) 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 /大澤めぐみ

ブログ票

  • 1位( 9票) キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った /比嘉智康
  • 2位( 8票) 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 /大澤めぐみ
  • 3位( 7票) 平浦ファミリズム /遍柳一
  • 4位( 6票) りゅうおうのおしごと!(6) /白鳥士郎
  • 4位( 6票) ワキヤくんの主役理論 /涼暮皐
  • 6位( 5票) あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! /内堀優一
  • 6位( 5票) 先生とそのお布団 /石川博品
  • 8位( 4票) 桜色のレプリカ(2) /翅田大介
  • 8位( 4票) ひとりぼっちのソユーズ /七瀬夏扉
  • 8位( 4票) 皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園 /やのゆい
  • 8位( 4票) 美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!! /春日部タケル
  • 8位( 4票) 親しい君との見知らぬ記憶 /久遠侑
  • 8位( 4票) 賭博師は祈らない(2) /周藤蓮
  • 8位( 4票) 友人キャラは大変ですか?(3) /伊達康

[ ラノベ人気投票『好きラノ2017下』、結果発表っっっ!! ]


2018 1 14

年末年始も「小説家になろう」を読んでました。いや、今まで読んでなかったので、漁れば漁るほどどんどんおもしろい作品が見つかるんですよ。

読んでおもしろければ書籍版を購入してそちらを読むようにしているのですが、移行のタイミングを逃したり、そもそも書籍化されてなかったりすると、そのまま、なろうで読み進めてしまったり(^^;。で、書籍版を読んでいれば、それぞれの文庫や単行本を読み終わったタイミングで感想書くんですが、Webで読んでるとそのタイミングがなかったりするんで、特に最新話まで読んだ作品の感想を纏めておきます。

魔王アルリリアの報われない日々

最高傑作級。このエントリを書こうと思ったのが、ほとんどこの作品のためです。めちゃくちゃ素晴らしいのに書籍化されてなさそうなんですよ。タグをみるとモンスター文庫大賞に応募してるみたいなのですが、これが選外になるとか、どういうこと!?

物語は、女子高生が魔王に転生するという異世界転生俺THEEEEEEE。基本、重いシリアスな展開で、母親が死んだり、安易なハッピーエンドに走らないのがよい。人を超えた能力で活躍し、周りからも愛されているのに、世界を滅ぼす魔王の運命に抗えない展開が素晴らしい。とにかく泣ける感動的な展開です。すでに物語も完結していて、おすすめっ!!

勇者稼業は思いの外重い

魔王アルリリアの報われない日々」の続編で完結編。魔王を滅ぼす勇者として転生した少年サイドの物語。はじめは「魔王アルリリアの報われない日々」に比べてコミカルで「魔王アルリリアの報われない日々」ではなかったステイタス表示も出てきたりして、おそらく「小説家になろう」の流行を意識したような改変は違和感があったのだけど、結局、重くて泣けるシリアス展開になっていくというね(^^;。「魔王アルリリアの報われない日々」とあわせて読みたい作品です。

ありふれた職業で世界最強

「小説家になろう」の歴代ランキングで二位。クラス丸ごと異世界転生しスクールカーストの最底辺から成りあがるパターンなのだけど、特筆すべきは、絶望から世界最強の能力を得るくだりで、これがなかなかエグイ。2018年4月からアニメ化 が予定されているけど、ここら辺をきちんと描いたらアニメも傑作になりそう。逆に、ここら辺を軽く描いたらダメなアニメになりそうだけど(^^;。……中盤は個人的にダレてる感じでいまいちなのだけど、終盤にかけて壮大な展開も素晴らしい。本編は完結済みです。

進化の実~知らないうちに勝ち組人生~

これもクラス丸ごと異世界転生するパターン。清々しいほどの俺THEEEEEで、ヒロインがゴリラだったり軽くコミカルな内容。個人的にわりと予想の斜め上な展開が多く、冥界に行ってからの展開とか愉快すぎる。しかし、主人公が“不細工・気持ち悪い・汚い・臭い・デブ”と序盤はそんな感じだったのに、いつのまにか転生前からモテモテだったような感じになってるのは、いったい(^^;。

異世界迷宮で奴隷ハーレムを

ダンジョンに挑みながら性奴隷ハーレムでいちゃいちゃする話。毎晩やることやっているのに、ヒーロー文庫の表紙のイラストをみるとHな感じが弱く、書籍化のパッケージングについては間違ってると思う。ヒロインたちは可愛く、ダンジョンを攻略する過程も丁寧でおもしろいのだけど、ただ、物語のゴールというか着地点が見えないんだよなぁ。作者が飽きたらそのままフェードアウトしそうで、購入するにはそこがちょっと気になるところ。

[ 最近読んでおもしろかった「小説家になろう」の作品 ]


2018 1 15

SBクリエイティブ GA文庫
りゅうおうのおしごと! 7 /白鳥士郎

最高傑作級。やはり、『りゅうおうのおしごと!』は素晴らしい。熱くせつなく感動的な物語でした。

今回は、八一の師匠清滝九段の引退を賭けた物語。テム・レイ……、清滝九段をアムロの父親に例えた話が秀逸すぎる。あれほど強く八一の憧れだった師匠の清滝九段が、まるでテム・レイのよう、いまさらの打ち手を語る姿は、涙なしには読めない。その酸素欠乏症のような状態から、自分の老害ぶりに気づき、しかし、若者には勝てないと思いながらもそこから復活しようとする漢の生き様。また、清滝九段だけでなく、清滝九段に先立ち引退を決意した蔵王達夫九段の対局を通して遺す強力なメッセージもまた、かっこいい漢の姿だよなぁ。挿絵も含め、じいさんたちがマジかっこよすぎるっっっ!!

かっこいい漢たちの裏で、天衣も女王に向けて一歩ずつ進んでいるのだけど、もう一人のヒロインあいの活躍の場は、いつになるんだ? 最近、ドタバタ要員にしかなってない気が(^^;。

[ りゅうおうのおしごと! ]


2018 1 16

KADOKAWA 電撃文庫
86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―<下> /安里アサト

……エッジがすべて丸まって、普通の戦争モノになってしまった。

とことんエゲツない地獄のような設定が魅力だと思っていたのだけど、アルゴリズムに支配され不気味だった敵は普通に意志ある人間のような描かれ方になってしまってるし、なんだか普通だ。そもそも全員死なないことがわかってる戦闘だし、激戦ではあるものの勝利が確定してる物語を描いてるだけになっちゃってるんだよなー。その勝利の過程が精神的にえぐるような内容だったならともかく、本当に激戦なだけだ。うーん、普通の戦争モノでしかない。

せめて、より困難に見えるレーナ側の物語を中心に描いてくれたならともかく、凄腕のパイロットが激戦を潜り抜けて目標を倒すってだけの話なんだよな。つまらなくはないのだけど、期待していたレベルものかというと、ぜんぜん足りてないよなー。

[ 86 ]