2020年 9月 6日
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オーバーラップ オーバーラップ文庫
◆ 死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くV /彩峰舞人 -
隠さないまでも、その死亡フラグは露骨すぎるだろ(^^;;;。
どうせ死ぬのはわかるんだけど、あまりに雑に死亡フラグを立てまくる敵・帝国軍のグラーデン元帥からの、オリビアの神国メキア訪問。うーん、オリビアのライバルは帝国軍最強で阿修羅の末裔フェリックスかと思っていたのだけど、頂上決戦前に王国軍と帝国軍のパワーバランスが大きく王国軍に傾いちゃっていて、なんだか、フェリックスどころか、その先にいる宰相ダルメスまでも簡単に倒せちゃいそうな。なにはともあれ、物語は次巻で大きな転換点へと向かうといった感じかしらん?
オリビア、アシュトン、クラウディアの恋愛未満の不器用な恋模様は楽しいのだけど、やっぱ、いまひとつオリビアの活躍が少なく物足りない。あと、意味ありげに登場してきたステイシアさんは、あれ? どう絡むんだ??
2020年 9月 8日
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オーバーラップ オーバーラップ文庫
◆ 信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 5.竜に呑まれし水の街 /大崎アイル -
「小説家になろう」は性描写がうるさいと聞くので、書籍化でノクターンするのを期待していたのだけど、……残念。<をい
そういうわけで、冒険者をスタートしたはじまりの水の街へ。水の街に戻ったマコトは、ジャンの結婚を聞き仲間の女の子たちを意識する。という感じで、今回はラブコメ回。一応、水の国の危機を救うために戻ってきたってことになっているのだけど、そちらは核心まではたどり着けず、あくまでイチャイチャがメイン。あとがきによると、文字数が少なくて『商業の国』編を書き下ろした、とのことだけど、そこはイチャイチャを大幅増量すべきところではないのか?(^^;。
それにしても、マコトさんは、完全に俺TUEEEEEEの無双モードになっていて、はじまりの頃からは想像できない成長ぶりだよな。えげつなく強くなっても、ふつーに街の人に受け入れられているのが、この作品の雰囲気の良さと思う。
2020年 9月 10日
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主婦と生活社 PASH!ブックス
◆ くま クマ 熊 ベアー /くまなの -
来月2020年10月からTVアニメもはじまる『くま クマ 熊 ベアー』。ちょうど、Amazon primeでセールしていたので読んでみました。
すげぇぇぇぇ、おもしろいぃぃぃぃぃぃっっっ!!
ゲームでクマの装備一式をプレゼントされたと思ったら、そのまま異世界へ転送されてゲームのような異世界生活がはじまるという「小説家になろう」発の異世界転移モノ。可愛いクマの着ぐるみ姿の女の子がめちゃくちゃチートで無双するという、アイデア一点突破型の物語。とことんクマ、とにかくクマ。
めちゃくちゃ軽くさくさく読めて、そしてコミカルで愉快な展開がとことんおもしろい。いやぁ、このリーダビリティの良さは素晴らしいわ。いい意味でどんどん読める、ページをめくる手が止まらないっ!! 引きこもりゲーマーのズレた感性の主人公が巻き起こすコミカルな展開と、読みやすく軽い文章の相性が抜群で、すげーおもしろいっっっ!!!!
ただ、ワンアイデアの異世界転移モノで、物語に目標やゴール的なものが全く見えないので、この1巻は最高なのだけど、続刊もちゃんと面白さが持続するかはちょっと気になるところ。2020年9月時点で、15巻も続いてるんだよな(^^;。
[ くま クマ 熊 ベアー ]
2020年 9月 12日
twitterで“ラノベ史を語るうえで、今一番重要なのは、たぶん00年代からのWeb小説で、そこら辺、だれか書籍に纏めてくれないものか……。”とつぶやいたところ、いくつか関連するURLを教えていただいたので、ブックマーク代わりにリンクをまとめておきます。マジだれかまとめてくれないものか……。
ネット小説史関連リンク
- 【Web小説】 これより「小説家になろう」老人会を開催する! - YouTube
- ネット小説史(小説家になろうを中心に) - スパイラルダイビング
- 「エヴァSS」から「小説家になろう」までのWeb小説年表 - WINDBIRD::ライトノベルブログ
- 2010年代のライトノベルを振り返る - WINDBIRD::ライトノベルブログ
- 「小説家になろう」の異世界ファンタジーと『ゼロの使い魔』について簡単な整理 - WINDBIRD::ライトノベルブログ
- ゼロ年代からはじめるライトノベル史 | 「なろう」に「カクヨム」…今なお衰えないWeb小説のムーブメントとその起源(KAI-YOU Premium)
- 「小説家になろう」インタビュー 文芸に残された経済的活路 | Vol.1 個人発サイトがエンタメ/出版業界を席巻する理由(KAI-YOU Premium)
- ソードアート・オンラインのヒット、二次創作SS・Web小説の歴史、そして最近のラノベで流行するファンタジーについて - Togetter
- 「小説家になろう」の異世界ファンタジーの源流は『ゼロの使い魔』? - Togetter
- なろう系アニメ全作品を放送・公開順にまとめてみた! - moemee
- 「小説家になろう」というサイトと、電撃文庫『魔法科高校の劣等生』というイレギュラー - ピアノ・ファイア
メモ
- 1990年代個人サイトで公開されていたネット小説は、2000年代に「Arcadia」「小説家になろう」などの投稿サイトに集約されていく。「Arcadia」開設が2000年、「小説家になろう」開設が2004年
- 「小説家になろう」からの書籍化は2006年頃から女性向けの恋愛小説、ケータイ小説で見られるようになる。今の主流の異世界ファンタジーが書籍化されるようになるのは2010年辺りから
- ネット小説で異世界ファンタジーが強いのは『ゼロの使い魔』の二次創作の影響といわれている。『ゼロの使い魔』は2004年6月第一巻発売、2006年7月にアニメ化
- 「小説家になろう」の成功の背景には二次創作を排除しオリジナル作品に特化したことが挙げられる。2010年に「にじファン」を開設し二次創作を分離。2012年に「にじファン」は閉鎖されオリジナルのみに
- 書籍化ビジネスを中心に展開している「アルファポリス」は2000年設立。2005年に『レイン』、2010年に『ゲート』書籍化。2010年辺りから「小説家になろう」の書籍化に力を入れている。2014年東証マザーズ上場
- 「アルファポリス」以外で比較的早く2010年代初頭にネット小説の書籍化に力を入れていたのは、「イーストプレス」「フェザー文庫」「エンターブレイン」など
- 2012年の「ヒーロー文庫」を皮切りにネット小説の書籍化を行うレーベルが次々と創刊される。2013年「MFブックス」、2014年「GCノベルズ」「モンスター文庫」「HJノベルス」「アース・スターノベル」
- 「小説家になろう」以外の小説投稿サイトは、2010年「エブリスタ」、2012年「ハーメルン」、2015年「カクヨム」、2019年「ノベルアップ+」などが開設。一方、老舗の「Arcadia」は2013年を最後にメンテされていないように見える
- 主なネット小説のネット公開、書籍化、アニメ化の年月は以下
- ソードアート・オンライン: 2002年11月(個人サイト) → 2009年4月(電撃文庫) → 2012年7月アニメ化
- ゲート: 2006年4月(Arcadia) → 2010年4月(アルファポリス) → 2015年7月アニメ化
- 魔法科高校の劣等生: 2008年10月(なろう) → 2011年7月(電撃文庫) → 2014年4月アニメ化
- ログ・ホライズン: 2010年4月(なろう) → 2011年3月(エンターブレイン) → 2013年10月アニメ化
- オーバーロード: 2010年5月(Arcadia,なろう) → 2012年7月(エンターブレイン) → 2015年7月アニメ化
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか: 2011年4月(Arcadia,なろう) → 2013年1月(GA文庫) → 2015年4月アニメ化
- Re:ゼロから始める異世界生活: 2012年4月(なろう) → 2014年1月(MF文庫J) → 2016年4月アニメ化
- この素晴らしい世界に祝福を!: 2012年12月(なろう) → 2013年10月(スニーカー文庫) → 2016年1月アニメ化
[ ネット小説史関連リンク ]
2020年 9月 14日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ 魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編 /佐島勤 -
……えっと、卒業編のアレはギャグでやってるのか(笑)。
もともと作者がシリアスに書けば書くほどギャグになるタイプの作品ではあるんだけど、アレはちょっと違和感あるよな。まあ、いまだに“劣等生の兄と優等生の妹”と謳っていて、全般的にギャグなんだけど。
それはともかく、一応、シリーズ最終巻。光宣関係の決着のつけ方は、予想よりもすごく綺麗で、むちゃくちゃ良かった。ただ、最終巻にしては、イベントがすごく地味で、そこは残念かな。エピローグ的に綺麗に纏めた感じでもないしねー。
すでに続編決定しているし、最終巻は名ばかりで、あくまで高校卒業のタイミングで区切る程度のことなのかもしれない。でも、達也って、すでに個人で米国やソ連、中国などの大国より対等以上の存在になっちゃってるんだけど、あの世界で達也の敵になりそうな個人や組織が出てくるとは思えないし、達也以外のキャラに焦点当ててもつまらないし、これ以上続けて新シリーズはなにやるんだ?
[ 魔法科高校の劣等生 ]
2020年 9月 19日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ アクセル・ワールド25 ―終焉の巨神― /川原礫 -
えぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~っ!! いや、ラストが衝撃なんですが、なんか期待と違う方向に外されたので、正直、驚きつつもガッカリな感覚も強く、そもそも、物語は、あいかわらず寄り道して引き延ばし引き延ばしばかりで、いい加減、決着つけようぜ。……帯に“衝撃の決着”とあるけど、ぜんぜん決着ついてないのどういうこと!?
ハルユキの強さがどんどんインフレしていきつつ、少しづつ世界の謎を明らかにしつつ、『SAO』とのリンクを匂わせつつ進む展開は悪くないけど、さすがに、ここまで無駄に引き延ばしが続くとなー。あと、あのラストは、『アクセル・ワールド』のノリだとくだらない展開にしかなりそうもなくて、あんまし続きが面白そうじゃない。《白のレギオン編》は今回で終わりで次から新編に入るということだけど、次はもうちょっとまともなストーリー展開にしてほしいなぁ。
[ アクセル・ワールド ]
2020年 9月 20日
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バンブーコミックス タタン
◆ 星屑セレナーデ 星の瞳のシルエット another story (3) /柊あおい -
正体を明かさないキャラが増えるんだけど(^^;、司はともかく、向日葵は日野夫婦のお子さんかしら???
そゆわけで、『星の瞳』の20年後を描いたシリーズ第三弾。うーん、前作とリンクのあるキャラが登場するときはおもしろいんだけど、主人公・柚希が痛くて読むのがつらい。少女漫画のテイストに寄せてるんだろうけれど、やっぱ、大学生にしては幼すぎるよなぁ。中学生、せめて、高校生設定だったら良かったんだけど。東北大が舞台だったら仙台二高生あたり設定すればよかったんじゃね? ついでに元男子校の仙台二高らしく、男子高生にしちゃえば良かった気がする(笑)。
しかし、向日葵が日野夫婦のお子さんかどうかはともかく、真理子の登場は難しいか!? そして、香澄はどうした、香澄は!!!!
[ 『星屑セレナーデ(3)』感想 ]
2020年 9月 21日
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TOブックス
◆ 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身III」 /香月美夜 -
貴族院三年目にして初めての表彰式。表彰されているのを見ると、改めてローゼマインの異常さが際立つよな。まだ上級生がいるにもかかわらず、表彰を総なめにし、一人でエーレンフェストを上位に押し上げる優秀さ。一方、エーレンフェストは、不釣り合いに高い順位の問題が強調されている感じで、明らかにヤバイ。エーレンフェストがフェルディナンドを失ったの、マジ大ピンチなんじゃね?
そのフェルディナンドとの久々の再開もあったけれど、ローゼマインを超える天才が、あのアホなディートリンデも、アーレンスバッハの他の貴族も、いまだ掌握できていないのはいったい……。そういえば、ディートリンデの描き方にはずっと違和感があって、ライバル的なポジションの悪女令嬢としては無能すぎるし、天然バカな愛されキャラとしては作者の書き方が厳しくて、正直、作者がなにを考えているのかよくわからない。親のゲオルギーネから興味を向けられていない可哀想な子というのはわかるんだけど。
ゲオルギーネもラスボスっぽいポジションのわりに、フェルディナンドをエーレンフェストから引き離して、もっといろいろ動きそうな感じだったのが、ちょっと動きが微妙っぽいのがなー。裏でなんかやってるみたいだけどさー。
[ 本好きの下剋上 ]
2020年 9月 26日
ライトノベル評論について、主だった書籍などを年代順にまとめてみました。
2004年8月に出版された『ライトノベル完全読本』がライトノベル評論のはじまりと言われてますが、遡ると2001年頃から「ライトノベル」という呼び方が広まりだし(「ライトノベル」という言葉自体は1990年に誕生)、2003年頃にはネットを中心に盛り上がるようになり、2004年になると読売、朝日、日経などの全国紙で取り上げられ、そして、2004年の夏から冬にかけて次々と関連本が出た、という流れですね。
「ヤングアダルト」からの看板の書き換えではあるんですが、「ライトノベル」という聞きなれない小説群が、新しい最先端の文学としてもてはやされたのが、この00年代初めのムーブメントでした。
もともとライトノベルに強かったのは「SFマガジン」、そして、三村美衣や大森望といったSF系の書評家だったので、初期のライトノベル評論が「SF史観」と言われてたのはそのせい。だって、1990年代にライトノベル(当時はヤングアダルトといった)の書評を書いてたのって、「SFマガジン」の三村美衣しかいない。当時は、新しく最先端の文学!?だったので、とにかくライトノベル専門の書評家がいなくて、なので、初期のライトノベル本ではだいたい三村美衣が語ってるという状況でした。
ライトノベル評論は、初期こそ「SF史観」と言われましたが、ただ、その後のライトノベル評論をリードしたのは、宝島社の『このライトノベルがすごい!』と、大橋崇行や山中智省といったライトノベル研究会に所属する研究者の方々です。
でも、『このライトノベルがすごい!』は、ランキング以外の記事は話題にならないし、研究会の書籍や研究会がやってた「ライトノベルフロントライン大賞」は話題にすらならないし、そもそもライトノベル研究会の活動そのものが2020年4月で終了しちゃったんですよね。ライトノベル研究の未来はいったい……。
ライトノベルの定義なんかも、もう20年近い議論の蓄積があるんですが、いまだに20年前に2chで言われてた「あなたがライトノベルと思うものがライトノベルです。ただし、他人の賛同を得られるとは限りません」で止まったままの人が多くて、結局、誰もライトノベルの評論や研究なんかに興味なくて見てないんです。
最近話題になっていた「ライトノベルに批評は必要か?」ってことに関しては、「必要」と言ってる人も含めて、本心では誰も必要としてない気がします。