2025年 3月 31日
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講談社 アフタヌーンコミックス
◆ メダリスト /つるまいかだ -
アニメでハマって漫画のほうも「アフタヌーン」掲載の最新話まで読んだのだけど、ほんとめちゃくちゃおもしろいっ。最近は、ひたすら『メダリスト』のアニメを見直して、漫画を読み直す生活をしているのだけど、アニメ第一期も最終回を迎えたので、せっかくなので感想を。
とにかく、熱く感動的なフィギュアスケートもの。フィギュアスケートって華やかなので漫画やアニメで比較的よく使われている題材だけれど、その華やかさよりも残酷で過酷な側面を強調して描いているのが凄い。優秀な選手になるには、本人の才能はもちろん、練習資金や練習できるスケート場の場所などの要素も大きい。物心もあやしい5歳前後に始めるのがよいと言われる一方、成長するとジャンプが飛べなくなる人も多く、さらに、オリンピック開催のタイミングによっては、自分の全盛期にオリンピックに出場できるわけでもない。うわぁ、努力で乗り越えられない壁が多すぎるこのスポーツ、なにもの?
そもそも、氷の上で滑ること自体が、常に転倒と怪我のリスクの高い競技で、作中でやたら"奇跡"がキーワードとなっているのだけど、この「奇跡を見守るスポーツ」というのが真に迫って説得力があるのよね。そんな過酷で残酷なフィギュアスケートを、小さな子供が覚悟を決めて人生を賭けて挑むのだから、熱く感動的な物語にならないわけないのよね。
TVアニメの第一期では、落ちこぼれで母にフィギュアスケートを習いたいことも言い出せない少女・いのりが、青年・司と出会いフィギュアスケートをはじめ、そして、全日本ノービスのブロック大会への出場資格を得る六級に合格するまで。原作を綺麗に再構成したアニメ化で第一期として描くならここで切るのがいいとは思うのだけど、原作の漫画はここから加速度的におもしろくなるんだよな。だから、第二期決定は非常に嬉しい。
まあ、つるまいかだ先生の漫画は、アニメ版よりも躍動的で圧巻の描写なので、アニメの続きよりも、漫画の続きの方が気になって仕方ないのだけど。漫画の方が明らかに描写が濃いので、先に漫画を読んでしまうと、アニメはちょっと物足りなさを感じてしまうぐらいなのよね。そして、最新の「アフタヌーン」で思い知ったけれど、簡単に読者の想像を良い方向で超えてくるんだよな。ほんと凄い。次の発売日の25日が、とにかく待ち遠しい。
いのりと光、司と夜鷹純のライバルを対比して描いているのに、夜鷹純がああなって、いのりと光がオリンピックに出場できるまでまだ何年もあるのに、光にあそこまでの演技をさせて、ほんと、どうなるんだこれ?
[ メダリスト ]
2025年 3月 10日
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インプレスNextPublishing いずみノベルズ
◆ 悪徳令嬢クラリス・グローリアの永久没落(1) /モモンガ・アイリス -
小説家になろう ですごく好きだった作品が書籍化っ!! 書籍化にあわせて中断していたWeb版の更新も再開したし、こんなに嬉しいことはない。
内容は、婚約者が婚約破棄したいという理不尽な理由で火刑に処せらせた伯爵令嬢のクラリス・グローリアが、その火炙りの最中に、前世の記憶を思い出し、不死の身体を手にいれる。と、初手、火炙りからはじまる異世界転生モノ。
クラリスをはじめ、理不尽に社会に見捨てられた人々が、そんな運命に抗うのでも復讐するのでもなく、積極的に運命に流されていくことを選択する物語で、主人公のクラリスは、不死身なだけで、特にチート能力があるわけでもないのに、妙なカリスマ性で人々を魅了し影響を与えていくのがいいんだよね。無能で力もないのに堂々と偉そうに生きるクラリスと、そんなクラリスの影響を受け変わっていく他の登場人物たち。なるほど、悪徳令嬢が周りを感化し、感化された仲間たちとともに状況に流され堕ちていく物語なのんね。
いや、チート能力については、特に序盤では、なんらかの魔法を行使している様子が描かれているんだけど、そこら辺はどうなんだろうな。Web版を読んでた時は、設定のブレのようなものかとも思っていたのだけど、書籍版でも修正されてるわけではないしな。
2025年 2月 11日
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KADOKAWA カドカワBOOKS
◆ サイレント・ウィッチIX 沈黙の魔女の隠しごと /依空まつり -
感動の大団円!! って、まだ続くんかいっ!!!!
正体を明かしたモニカは友人たちの協力を得て生徒会長を助ける……。他人を必要とせず数式の中に生きていた少女が、かけがえのない友人を得ていく物語としては、やっぱり正体を明かし助けを乞う前巻ラストがクライマックスだよなぁ。今回は、大団円へ至るためのエピローグのような一冊。審議会後のモニカとアイザックのシーンが泣ける(T-T)。そして、その後のみんなの生活が感無量。
一応、クロックフォード公爵との最終決戦はあるのだけど、他のキャラを含めた見せ場を作りつつコミカルに演出していて、クロックフォード公爵との対決というより、<沈黙の魔女>の凄さを見せつける展開。モニカの、ドジっ娘ぶりと恐ろしいほどの天才ぶりをきちんと両立して描く筆致は、ほんと凄いよね。
学園を卒業したあとのみんなの生活もこれ以上ない大団円で、これこそ理想的な最終巻、最高のラストだと思うのだけど、え〜、新章開幕しちゃうのか!? ここまで綺麗にエンディングを迎えると、むしろ不安が勝るんだけど、続きはどうなるの????
[ サイレント・ウィッチ ]